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スーパーGT第7戦KYUSHU300kmレース決勝レポート

2015/11/02

快晴だった土曜日に対し、日曜日の朝はやや曇り空。肌寒さを少し増しながらも、ドライコンディションのもと9:00からウォームアップ走行がスタートしました。 予選でポールポジションを獲得し、決勝に向けての最終調整に臨むカーズ東海ドリーム28の面々。しかしNo.2 シンティアム・アップル・ロータスは、出走することができませんでした。エンジンをスタートさせることができなかったのです。  スターターギアの交換だけならば、走行終盤に間に合う可能性はありました。しかしチームは予備のシステムに丸ごと交換することを選択。憶測による作業で再びエンジンがかからなければ、12:50までにマシンを送り出せずピットスタートとなってしまうからです。 分解されたシステムを検討した結果、これは正しい判断でした。チームは8分間のウォームアップ走行を無事に走り、フロントローまでSGT EVORAを運ぶことができました。

14:00ちょうどから決勝レースのローリング開始。GT500がスタートを決めた少し後で、No.2 シンティアム・アップル・ロータスはトップでコントロールラインを通過しました。 スタートドライバーは加藤寛規選手。折しも今回は、予選2番手のTOYOTA PRIUS GTがピットスタートを余儀なくされたことで、勝負所とみられていた1コーナーの進入ではみごとにホールショットを勝ち取りました。 オートポリスラウンドは1コーナーからの下り坂、第二ヘアピンを挟む登り・下り、そしてメインストレートと、要所要所に加速力が物を言う場面がありますが、それ以外は曲がりくねったテクニカルコース。つまり序盤の下り坂を抑えきることができれば、SGT EVORAにとっては得意な区間が続きます。しかし一度でもライバルに先行を許せば、いくらコーナーで追いついても直線区間で逃げ切られてしまうのです。予選はクリアラップを捜してベストタイムを叩きだすことも可能ですが、混戦となるレースは別。予選では「速いマシン」が求められてもレースでは「強いマシン」が必要とされるのは、こうした理由からでした。
「スタートで抜かれなければ!」という言葉通り、加藤選手はトップを走り続けました。今回初めて採用したソフトタイヤは燃料を満載した計測1周目でも1分45秒496という素晴らしいタイムを叩きだし、その後もグリップの推移を加藤選手が巧みにコントロールしながら、41周目までトップを一度も明け渡すことなくロングランを遂行。2位に30秒近い差を付けて高橋選手へと交代しました。

これを受け継いだ高橋選手は首位でコースへ復帰。後方からは既にタイヤ交換を終えたNo.3 日産GT-R GT3が迫り、43周目のストレートでトップの座を明け渡すことになりますが、その後は走るごとにラップタイムを上げて行き、48周目には1分49秒台に突入。3位との差も大きかったため、首位との闘いに集中する舞台ができあがりました。

しかしこのときSGT EVORAにまさかのアクシデントが降りかかります。49周目に入った1コーナーのブレーキングポイントで、左リアタイヤがバーストしてしまったのです。 ちょうどこの前の周回において、SGT EVORAは激しい順位争いを繰り広げていたGT500マシンの集団に飲み込まれ、そのうちの一台と接触していました。しかしマシンに外傷はなく、高橋選手もハンドリングに違和感を感じていなかったため、そのまま走り続けたのです。 ともかくすでにピットを通り過ぎたSGT EVORAは為す術がなく、高橋選手はマシンをグリーンに停めました。 レース終了後に回収したマシンを確認したチームによると「バーストの原因はコース上に落ちていたデブリ(パーツなどの破片)を踏んだ可能性が高い」とのことでした。

レースペースから考えてもこのまま行けば表彰台は確実と思われた第7戦オートポリスラウンドは、こうして幕を閉じました。しかし今季2回目のポールポジションを獲得するなど、チームの戦略は形になってきています。 最終戦は11月14日(土)から開催するツインリンクもてぎ。SGT EVORAにとっては決して有利なコースとは言えませんが、来季につながる闘いをするべく、ガレージに戻り次第チームはこれに備えます。

Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス

チーフエンジニア:渡邊信太郎

「ライバルたちがタイヤ無交換作戦をして追い上げにかかったりと、戦況は大変な状況だったのですが、加藤選手は天候も考えながら、ベストな場所でマシンを渡してくれました。またピット作業も完璧で、高橋選手のペースも良かっただけに、この結果は残念ですね。マシンがストレートを通過したとき、リア・アンダーパネルも無事に見えたので大丈夫かと思ったのですが…。」

 

 ドライバー:加藤寛規選手

「レースは高橋さんの走り良かっただけに、悔しいです。最低でも表彰台は行けると思っていたので……もったいないなぁ! 本当に結果が出したかったです。 ただ今回初めてのタイヤにチャレンジしたことについては、かなり大きな収穫を得ることができました。(マザーシャシーである)自分たちが使うべきタイヤのレンジというものが、どこにあるのかよりハッキリしましたから。まだまだマシンは進化すると思います」

 

ドライバー:高橋一穂選手

「3コーナー以降、左回りにイン、インと来るセクションでGT500がなだれ込んできて。もちろんこれを行かせる走りをしたのですが、一台が当たりました。接触したといっても衝撃は軽かったし、その後も走り続けることができたので、自分としてもこのまま走れると思ったのですが、1コーナーのブレーキングでバーストしました。予選からよい流れを作れていたので、今はとても残念な気持ちです。……結果に結びつかんねぇ」

※LOTUSピットツアーにご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。

2015.11.02