今シーズンの締め括りとなるスーパーGT 第8戦 MOTEGI GT 250KM RACE、11月14日(土)にツインリンクもてぎにて、公式予選が開催されました。 金曜日の夜半から降り出した雨によって土曜日の路面コンディションはウェット。9:50から1時間45分に渡って開催された公式練習走行は、小雨降るなかでの調整となりました。
No.2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)は今回も順調にメニューをこなし、予選のタイヤ選択やセッティングを作り上げました。また、高橋一穂選手も積極的にSGT EVORAをドライブし、その感触をもとに、前戦に続いてQ1ドライバーを担当することに決まりました。
■予選1回目(Q1)
14:00からちょうどから始まった公式予選1回目。天候は公式練習走行よりも若干雨足が強く、ピットを離れたマシンの多くがワイパーを動かしていました。気温は13度、路面温度14度。非常にタイヤが暖めにくいコンディションのなか、各車徐々にタイムを上げて行きました。 そんななか、No.2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)をドライブする高橋選手は序盤でスピン。幸いにもマシンは無事にコース内に留まり、その後は走行を再開することができました。 しかしその後も高橋選手はマシンの操縦に苦しみ、なかなかタイムを伸ばすことができませんでした。これまでとは違うレインタイヤの感触に苦しんでいたのです。 柔らかいゴムを持つレインタイヤは、通常であれば早くに作動温度領域(熱が入ってタイヤが機能する領域)に入ります。しかしこの時期のもてぎは、このレインタイヤをしてもなかなか温度レンジに入らないのです。実際公式練習走行を走った加藤選手でさえ、タイヤを発熱させるのに4周以上を要したのでした。
タイヤを暖めきった上位陣はアタックを開始。するとそのタイムは2分を切るまでになり、ポールポジションのマシンは1分56秒223までタイムを縮めました。しかしSGT EVORAは2分2秒674を出すのがやっと。予選結果は27位、残念ながらチームはQ2進出を果たすことができませんでした。
第7戦では予選3番手という素晴らしい結果を残した高橋選手でしたが、ひとつボタンをかけ違えるだけで予想だにしない順位となる、それがプロフェッショナルレースであるスーパーGTの厳しさだと言えるでしょう。その中で闘うアマチュアドライバーとして、レーシングタイヤの特性をつかむという課題を得た、ほろにがい予選でした。
Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス
チーフエンジニア:渡邊信太郎
「今日は気温が非常に低く、タイヤを作動させるのが難しい状況ではありました。特にSGT EVORAは車重が軽いので、これにマッチするソフトなタイヤをまだわれわれが得てない、という不利な状況も確かにあります。ちなみにタイヤが暖まった状況では、高橋選手もQ1を勝負できるタイムを出しています。今回の結果は、予選の短い時間のなかで、ニュータイヤをその温度レンジまでもって行けなかったことが原因ですね。 しかしモチベーションはまったく落ちていませんよ。我々はすでに来季に向けて様々なトライを進めているので、まずはこのレースをきちんと完走して、ひとつでも多くのデータを持ち帰りたいと思っています!」
ドライバー:加藤寛規選手
「予選直前に雨が降り出して、公式練習走行のときより路面に水が多く溜まっている状況だったので、ちょっとどうかな…と思ってはいたのですが、やはり状況は厳しかったようですね。でも、厳しい言い方をすればそこはドライバーがきちんとタイヤを暖めるべきポイントなんです。高橋選手にとってこの経験は、今後のレースに大きく役立つのは間違いないですし、絶対に忘れないで欲しいですね。」
ドライバー:高橋一穂選手
「普段ならとっくにレインタイヤが暖まっている周回数で、まったくグリップが立ち上がってこなかったので、戸惑いました。悪いのは自分の走りだと思って、丁寧な走り方を試みていたのですが…(それだとタイヤはいつまで経っても暖まらない)。アタックの走りではなく、もっとタイヤを暖める走りをするべきでした。」
2015.11.14