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LOTUS CUP JAPAN 2018 第4戦(特別戦)レポート

2018/09/04


■予選
JAF(日本自動車連盟)公認レース「LOTUS Cup Japan」、2017年シーズン第4戦が、9月2日(日)に富士スピードウェイで開催された。第4戦は「JAPAN LOTUS DAY 2018」内で、エキシビションとして行われる。シリーズポイントには加算されないものの、最終ランキングで同ポイントとなった場合、今回の順位によって最終結果が決まるため、非常に重要な一戦となる。

コーリン・チャップマンが最初のロータス製車両を製造した1948年から70年となる今年、「JAPAN LOTUS DAY 2018」には、500台を大きく超える車両が参加。サーキット走行会、トークショーなどのイベントが開催される中、もひときわ大きな注目を集めていたのがロータス・カップ。今回の特別戦にはクラス1が9台、クラス2が3台、合計12台がエントリーした。ゲストドライバーは、昨年の第2戦鈴鹿以来となるレーシングドライバーの加藤寛規 選手が、エキシージ・スポーツ350(V6)のステアリングを握る。

秋の気配が漂う富士スピードウェイは、早朝からあいにくの天候となった。予選開始時刻の午前9時10分の段階で雨は上がったものの、路面にはほぼウェットが残る難しいコンディションで、15分間の予選が行われた。いち早くコースインしたのは、現在ポイントリーダーの飯田敏雄 選手。好調さを見せつけるかのように、いきなり1’06.539を記録する。その飯田選手を追うように、第2戦富士以来の参戦となったノビーカジタ選手が2’07.093、草野誠二選手が2’08.909、荒田良浩選手が2’08.974のタイムで続く。

上位陣のタイムが出揃ったタイミングでアタックを開始した加藤は、2’06.458を叩き出し、一気にリザルトボードのトップに躍り出る。路面状況が少しずつ回復するなか、加藤選手は2番手以下を2秒近くも引き離す2’04.135までタイムを削り、ポールポジションを獲得した。

残り5分の段階で、今シーズンまだ優勝のない草野選手が2’06.930と、加藤選手、飯田選手に続く06秒台に入ってきた。さらに、それまで沈黙を守っていた滑川真央選手が2’06.555のタイムで草野選手をしのいで3番手に浮上。その直後、草野選手が2’05.082と06秒台を破って再度2番手をを奪取する。残り1分を切り、再度アタックを敢行した飯田選手が2’06.089、カジタ選手も2’06.115と自己ベストを更新した。この結果、ポールの加藤選手に続き、2番手タイムの草野選手がフロントロウの一画を確保。3位の飯田選手、4位のカジタ選手が2列目から逆転を狙う。

予選中盤に好タイムを記録しながらも、タイムを更新できなかった滑川選手は5位、6位には06秒台に一歩届かなかった荒田選手が入っている。クラス2は、これまでクラス1にエントリーしていた松葉育郎選手が、ロータス211にマシンをスイッチ。久々に3台での争いとなり、ポイントリーダーの秋葉有一選手が2’20.455のトップタイムを記録している

■コメント
Class 1
予選2位 #55 草野誠二 選手
「どういう状況で走れるか分からなかったので、少し戸惑いがありました。朝のスポーツ走行の段階では土砂降りだったのですが、コース上に川が流れていなかったので、ある程度は全開で行けるセクションもありました。正直、もう1秒くらいは詰められたかと思いますが、タイムには納得しています。今年はまだ勝てていないので、決勝はなんとか勝ちたいです。」

予選3位 #47 飯田敏雄 選手
「楽しく走れました。朝の練習走行が土砂降りだったので、それと比較するとドライと言ってもいいほどでしたね。反省点としては、基本を忘れて少し頑張り過ぎてしまいました。それもあって、何度かもミスもありました。せっかくのロータス・デイなので、決勝は楽しむことに徹したいと思います。」

予選4位 #75 ノビーカジタ 選手
「ロータスでウェットコンディションの富士を走るのが初めてだったので、すごく怖かったです。予選前に雨が止んできたので、半分ドライのつもりで走ることができました。まだ手探りの状態ですし、もう少しマシンに慣れてくれば、さらに速く走れると思います。決勝は、なんとか今のポジションを守りたいです。」

Class2
予選1位 #16 秋葉有一 選手
「ヘビーウェットを覚悟して走ったんですが、コースは意外と乾いていました。あまりトリッキーな状況にはなりませんでしたね。決勝はもっと乾いてくるでしょうね。今回からクラス3が念願かなってクラス2が3台になりました。ポイントリーダーですし、3人の一番前にいなければならないと思っていますが、211の方がポテンシャルが高そうですね。」

ゲストドライバー(賞典外)
予選1位 #2 加藤寛規 選手
「路面は朝のフリー走行の段階では、水が残って川もあったんですが、走行中はなくなっていました。ウェットですが、比較的安全に走れるコンディションでしたね。ドライバーの皆さんとしては、攻めるべきなのか、判断が難しかったかもしれません。皆さんのタイムを見ていると、かなり拮抗していたので、やはり改めてレベルが高いと驚いています。決勝はまた予選とはまた別物なので、みなさんの邪魔をしないように僕自身も楽しみたいと思います。」


■決勝
LOTUS Cup Japan第4戦決勝レースが、富士スピードウェイ10周で争われた。予選ではウェットが残っていたが、決勝スタートの時点でレコードラインは乾きつつある。フォーメーションラップを経て、午前11時16分に12台が一斉に決勝レースをスタートした。

ポールポジションからホールショットを決めた加藤寛規 選手は、1周目から2位以下を大きく引き離し、順調にラップを重ねていく。一方、白熱を極めたのが2位争いだ。スタートで一歩出遅れた草野誠二選手をパスした飯田敏雄選手が、2位で1コーナーをクリア。草野選手の直後にはノビーカジタ選手もピタリとつけ、2周目には3位のポジションを奪って見せる。「絶対に勝ちたい」と語っていた草野選手はすぐにカジタを抜き返し、さらに前をいく飯田選手も射程圏内に捉える。

飯田選手と草野選手はテールトゥノーズでバトルを展開。7周目にはメインストレートでスリップストリームに入った草野選手が、1コーナーでイン側に飛び込むが、ブレーキングが間に合わずにオーバーラン。さらにダンロップコーナーでも仕掛けるものの、ここでもウェット路面にブレーキングが合わず、アウト側に飛び出してしまう。ファイナルラップまで飯田選手へのアタックを続けた草野選手だったが、一歩届かず。「あと2周あれば……」と、フィニッシュ後に悔しさをのぞかせた。

トップの加藤選手は危なげなくレースを走りきり、トップでフィニッシュ。加藤選手が賞典外となるため、飯田選手が優勝を手にした。キャンセルとなった第2戦富士を挟んで、開幕戦からの連勝記録を3に伸ばしている。観客を沸かせる見せ場を作った草野選手が2位。3位に入ったカジタ選手はレース歴わずか6戦目にして、初の表彰台獲得となった。

スタート直後から抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げた滑川真央選手、荒田良浩選手、東浩平選手による4位争いは、滑川選手が荒田選手を抑えてフィニッシュ。表彰台には一歩届かなかったものの、次につながる4位を得た。クラス2は今回からロータス211で参戦した松葉育郎選手がスタートで秋葉有一をパス。しかし、1周目のヘアピンで秋葉が抜き返し、その後は一度も首位を譲ることなく、クラス優勝を果たしている。


■コメント
総評 #2 加藤寛規 選手(賞典外)
「みなさん、普段からレベルの高いレースをしているので、難しいコンディションでしたが、ぶつからずに素晴らしいバトルをしてくれました。見ていた人の多くが、『すごいバトルの連続で本当に面白かった』と言っていたほどです。僕は邪魔したくなかったので、あえて一生懸命逃げました。ラインは比較的乾いていましたが、ウェットパッチが残っているので、オーバーテイクは難しかったはずです。それでも皆さんラップタイムが拮抗していましたし、その点は本当に素晴らしかったと思います。」

クラス1
優勝 #47 飯田敏雄 選手
「路面状況がどんどん変わって、とてもハードなレースでした。最初から乾いている箇所もあったんですが、ドライの感覚でいくと、思ったよりも滑りました。草野選手がハードに攻めてきたので、かなりきつかったです(笑)。岡山でのレースも楽しめたらいいと思っています。」

クラス1
2位 #55 草野誠二 選手
「イン側がウェット、アウト側がドライという、あまり経験したことのないコンディションでした。ウェット側からのスタートだったので、抜かれると思っていたら、案の定でした。抜きどころが全てウェットだったので、同じブレーキングポイントで何度も飛び出してしまいました。いつも行けるところで行けなかったり、シフトミスがあったりでしたね。あと、2周あれば……という感じでした。岡山こそはなんとか勝ちたいです。」

クラス1
3位 #75 ノビーカジタ
「レースを始めて以来、私にとっては初めての表彰台になりますし、すごく嬉しいです。とてもバトルの多いレースでしたし、自分自身の体力のなさを痛感しました。とにかくハードで『あと3周、2周、1周……』と思いながら走っていましたから(笑)。次の岡山はスキップしますが、富士はまた頑張ろうと思っています。

クラス3
優勝 #16 秋葉有一
「スタートで松葉選手に前へ出られてしまったので、内心『しまった』と思いました。そこからは、どこで抜くかがテーマだったんですが、100Rでアウト側から並んで、ヘアピンでパスすることができました。それ以降は前を走るクラス1のマシンをターゲットに走ったんですが、さすがに追いつけませんでしたね(笑)。次の岡山はスキップするので、最終戦の富士を頑張ります。」