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SUPER GT 2019 第2戦 IN 富士 500KM レースレポート

2019/05/05


ゴールデン・ウィーク中盤を迎えた53日(金)/4日(土)の2日間にかけて、令和初となるスーパーGT2戦「FUJI GT 500KM RACE」が開催されました。 シーズンで2大会が開催される富士ラウンド。今回は500KMの中距離レースに、総勢29台のGT300マシンがエントリーしました。 Cars Tokai Dream28はこのレースを、加藤寛規/高橋一穂選手と共に、シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)で闘いました。

 ■公式練習走行

金曜日の850から開催された公式練習走行では、開幕戦と同じく加藤選手がSGT EVORAのセッティングとタイヤ選択を担当しました。 今大会でまず注目すべきは、SGT EVORAの外観です。 JAF GT MC(マザーシャシー)であるSGT EVORAは規定の範囲内でボディのアップデートが許されており、そのエアロシステムは富士仕様へと変更されているのです。 一番わかりやすい部分はフロントバンパー脇に付く「フリックボックス」の存在でしょう。さらにフロントフェンダー前側の造形や、フェンダースロープの角度が開幕戦とは異なる「ローダウンフォース仕様」となっています。 具体的には1.5kmに及ぶストレートでの空気抵抗をへらしつつ、高速コーナーでは必要なだけのダウンフォースを得るべく、風洞実験を重ねて作られたエアロパーツが装着されているのです。 この富士仕様となったSGT EVORAは、事前に行われた富士の公式テストでも4番手の好タイムをマークしました。そしてこの公式練習走行でも、加藤選手のドライブによって137103のタイムを刻みます。予選/決勝に向けたメニューを着実にこなしながら4番手となり、ヨコハマタイヤ勢としてはトップで走行を終えました。

 


公式予選1回目

薄曇りながらも富士山を見渡せる天候のもと、1430から1回目の公式予選(Q1)が開催されました。 気温20度、路面温度37度。15分間で争われる予選Q1は、エースである加藤寛規選手がドライバーを担当しました。 予定周回数に必要な分だけの燃料を搭載するSGT EVORAは、いつも通り予選開始から少し時間を置いて、クリアラップを狙ってコースへと送り出されました。 この予選アタックで、加藤選手は貫禄の走りを見せつけました。 決勝を見越したロングライフなタイヤを、2周をかけてじっくりウォームアップさせた加藤選手。そしてアタックラップとなった4周目には、なんと136566という素晴らしいタイムを刻み、いきなりトップへと浮上したのです。 さらに翌周はセクター1、セクター2でもベストを更新。しかしこの周で加藤選手は「先も詰まっていたし、ミスも少しあったので」と冷静に状況を判断。そしてピットへと、SGT EVORAを戻しました。 しかしその後も2位の順位に変動こそあったものの、加藤選手とSGT EVORAのトップが奪われることはありませんでした。

公式予選2回目

GT500クラスのQ1を挟み、1515から2回目の予選(Q2)がスタート。Q1を突破した16台のマシンで、10分間のアタックが行われました。 加藤選手からバトンを受けた高橋選手は、Q1よりもさらに短い時間でタイヤをウォームアップさせるべく、やや早めにコースインしました。 そしてアタックラップでは4周目に139761をマーク。さらに翌周もベストを0.414秒更新します。 しかしその後は残念ながらタイムを伸ばせず、かつライバルたちのタイムアップも大きかったことがあり、順位は16番手となりました。 ポールポジションは同じヨコハマタイヤユーザーである♯56 REALIZE NISSAN AUTOMOBILE TECHNICAL COLLEGE GT-R(平峰一貴選手)が、135871で獲得しました。


決勝レース

決勝レースが始まる30分ほど前から空が曇りだし、遂には雨が降り始めました。 レースは定刻通りに1430からスタートしましたが、路面状況を考慮したGTアソシエーションは、開幕戦同様セーフティーカー先導でスタート。2周のウォームアップ走行で先導車がコースインすると、500KMのレースがスタートしました。 GT500クラス換算で110周を走る今回のレースでは、2回のピットインとドライバー交代が義務づけられています。そこでチームは加藤選手にスタートを任せ、第一/第三スティントの両方でエースが走れるオーダーを実行しました。 しかしエースの実力をもってしても、今回の天候と気温には勝てませんでした。 チームは今回用意したレインタイヤで、一番ソフトなものを選びました。しかしそれでもこの低い気温のもとでタイヤを満足に機能させることは叶わず、いつもの追い上げができなかったのです。 渡邊チーフエンジニアも「鈴鹿のようにタイヤに大きな荷重が掛かるコースであれば、もう少し違った結果になったかもしれません」とこの状況の難しさを語りました。 レースは12周目、あまりの雨量にセーフティーカーが導入されました。そして15周目までマーシャルが隊列を先導しますが、遂には赤旗中断に。このときの天候は、雨だけでなく雷が見られるような状況だったのです。 そしておよそ20分の中断を挟んだ15:33、天候の回復と共にレースは再開されました。 その後、加藤選手は第一スティントを39周目まで走りきり、9位で高橋選手にバトンを渡しました。 高橋選手にとっても、第2スティントは厳しい闘いとなりました。 雨こそ止んだものの路面は走行ラインを外せばまだまだウェット。この状況でチームは、スリックタイヤを選んでSGT EVORAを送り出したのです。 もちろんこれは、レースを闘う上で必要な選択でした。さらに気温の低さを考慮してチームは、予選で使ったタイヤよりもソフトなコンパウンドをSGT EVORAに装着していました。 しかし高橋選手はアウトラップで、追い越しにかかるGT500マシンにラインを譲った際不運にもスピンを喫しました。またその後も難しい路面状況にタイヤをウォームアップさせきることができず、イエローフラッグ中にスピンを喫して10秒のペナルティストップを受けてしまいます。 残念ながらレースはこの2回のスピンでほぼ勝負権を失ってしまいました。 しかし高橋選手は諦めることなく73周まで走り抜き、第二スティントを終えました。 ここでチームはSGT EVORAに再びソフトタイヤを投入し、加藤選手に最後のスティントを託しました。 しかし83周目の1コーナーで、不運にも追い越しをかけてきたGT500マシンとSGT EVORAが接触するアクシデントが発生します。 このとき加藤選手はイン側にマシンを寄せて追い抜きを促しており、相手側チームもその走りに非はないと捕らえていたようです。 しかしGTアソシエーションは、SGT EVORAにペナルティを与える裁定を下しました。 これを受けて加藤選手は91周目にドライブスルーペナルティを消化し、闘いはさらに厳しい展開となりました。またアクシデントでSGT EVORAは左フロントバンパーを破損しており、速さを発揮できなくなっていました。 それでも加藤選手とSGT EVORAは、99周まで走り抜きました。順位こそ23位となりましたが完走を果たし、チームポイントとして1ポイントを獲得しています。 レースは予選4番手からトップに躍り出た♯11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信 組)が終始闘いをリードしました。そして終盤になると予選7番手から浮上してきた♯55 ARTA NSX GT3(高木真一/福住仁嶺 組)と激しいバトルを最終ラップまで展開しましたが、見事にこれを抑えきって今季初優勝を果たしました。

 

 ■チーフエンジニア 渡邊信太郎

「決勝レースは開始から非常に気温が低く、第一スティントでは用意したレインタイヤを満足に機能させることができませんでした。 また高橋選手のスティントにはソフトタイヤを用意したのですが、これも公式練習走行では試さなかったイレギュラーなものでした。路面状況も含め、アマチュアドライバーである高橋選手には、かなり厳しい状況だったと思います。 今回は結果として、非常に苦しいレースでした。次戦(鈴鹿ラウンド)は頑張りますので、応援よろしくお願いします!」

 

 ■ドライバー加藤寛規選手

「今回はチームとして綿密に作戦を立ててレースに臨んだのですが、それが全て台無しになってしまうような天候でした。現状我々には雨で合うタイヤがなく、それでも色々とセッティングを試みたのですが、だめでしたね。マザーシャシー勢は本当に、全車ともキツい状況だったと思います。まさに苦手な部分を突かれたレースでした。鈴鹿はテストでも良い結果が出ていますので、仕切り直しでがんばりたいと思います」

 

ドライバー 高橋一穂選手

「アウトラップでのいち早いタイヤのウォームアップと、コンスタントラップのアベレージを上げることをテーマにレースには臨みました。しかし今回の路面状況は、ものすごく難しかった。GT500マシンに譲る過程で、少しラインを外しただけでもマシンがスピンしてしまうような路面でした。なかなか走行時間を稼げていませんが、それでも鈴鹿は10時間耐久の練習走行もありますし、少ない時間を最大限に活かして次につなげたいと思います!」