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【SGT-EVORA】SUPER GT 2021 第5戦 IN SUGO, SUGO GT 300KM RACE レースレポート

2021/09/17




9月11日(土)から12日(日)の2日間にかけて、スーパーGT第5戦「SUGO GT 300KM RACE」が開催されました。全8戦の折り返しとなる今大会は、2年ぶりのスポーツランドSUGOがそのステージとなりました。

前戦9位完走によってポイント獲得を果たしたmuta Racing EVORA MCは、今回も加藤寛規/阪口良平選手と共に、スーパーGT屈指のタフでテクニカルなレースを闘い抜きました。



■公式練習走行

土曜日の9:20から開催された公式練習走行は、阪口選手がまず最初にmuta RACING LOTUS EVORA MC(以下SGT EVORA)のステアリングを握りました。予選セッティングを担当した阪口選手は14周目に、まず1分19秒900のタイムを刻んで14番手に。トップは♯88 ランボルギーニ ウラカンGT3が1分19秒158を刻み、実に1秒の間に14台がひしめく混戦状況となりました。さらに阪口選手は1分19秒605までタイムを更新し、18周を走り終えて加藤選手へとスイッチ。ここで加藤選手は、決勝レースに向けたロングラン用のセッティングを進めました。最終的にSGT EVORAは、24番手となりました。公式練習走行は♯61 SUBARU BRZ GT300が1分18秒217のタイムを刻み、トップに立ちました。スポーツランドSUGOは抜きどころの少ないコースだけに、予選での順位が大切になります。そして現状の結果だけを見ると、SGT EVORAは一発の速さに欠ける印象でした。しかしチームはこの公式練習走行で、ひとつの手応えを得ていました。各セクターのベストタイムを総合し、予選タイムを18秒中盤と想定していたからです。そして無理にアタックをすることなく、今回はその多くをロングラン用のセッティングに費やしたのでした。





■公式予選1回目(Q1)

14:30から始まった公式予選には、総勢28台のマシンがエントリー。SGT EVORAはBグループに組み込まれ、13台のマシンと共にQ1突破をかけて10分間の予選を戦いました。Q1-Bは阪口選手が担当しました。阪口選手3周をかけてタイヤをウォームアップさせると、翌周に1回目のアタックを敢行。ここでまず1分19秒221のタイムを出して、12番手に着けました。そして翌周には、想定通りに1分18秒669のタイムをマーク。これは実に、公式練習走行から1秒近いタイムアップでした。しかしここで予想外だったのは、Bグループに出走したマシンたちが、この想定を上回ってきたことでした。SGT EVORAの順位は、今回のベストタイムを出しながらも11番手。ここで阪口選手は、「もう一周行ける」という無線を受け、3度目のアタックを敢行しました。しかし僅かにベストを上回ることができず、SGT EVORAは13番手でQ2進出を逃しました。当落線上となる8番手との差は、0.274秒差という激しい戦いでした。





阪口選手は「全てを出し切る走りをしたつもりです。18秒中盤で通らないというのは……」と、その驚きと悔しさを語ってくれました。また渡邊チーフエンジニアは「Q1の走りは、マックスだったと言えます。Bグループのマシンたちが速すぎましたね。エヴォーラもセクター1、2ではきっちりタイムを出しているのですが、登り区間では0.5秒以上差を付けられています。ポイント獲得によるウェイトの影響が出た結果ですね」と、阪口選手の走りを評価しました。ちなみにQ1-Aグループの8位タイムは、1分18秒776でした。予選のグループ分けはポイントの獲得状況で振り分けられています。路面状況の好転なども影響を及ぼしているとは思われますが、より車両重量が重たいはずのBグループ勢が激しい戦いを展開したことは、GT300クラスのレベルの高さを物語っていると言えます。A/Bグループの上位8台によって争われるQ2は、♯61 SUBARU BRZ GT300(井口卓人→山内秀樹選手)が1分17秒479のタイムでポールポジションを獲得しました。この結果からSGT EVORAは日曜日の決勝レースを、25番グリッドからスタートすることになりました。







■決勝レース

土曜日までの天候が一変して、快晴の秋空となったスポーツランドSUGO。日曜日の決勝レースは定刻通り13:30から始まりましたが、隊列が整わなかったためウォームアップランが3周に。これによって決勝レースは、一周減算した83周(GT500換算)で争われることとなりました。

第一スティントのドライバーを務めた加藤寛規選手は、序盤から苦戦を強いられました。スタートの混戦状態では前を塞がれ、なおかつセクター3以降の登りセクションでは加速力の違いで引き離される展開から、2周目には26位にポジションをダウン。前がやや開けた状況では1分22秒台を連発しましたが、それでも本来の速さには、1秒近く足りない状況でした。25周を過ぎたあたりから1回目のピットインを行うチームが現れ出すと、SGT EVORAの順位は少しずつ上がって行きましたそして37周目にはトップ10まで上り詰め、8番手まで順位を上げたところでピットイン。阪口選手へと、バトンを渡しました。
今回チームは定石通りタイヤを4本交換し、SGT EVORAをコースへと送り出しました。






ウォームアップを終えた阪口選手は23番手から挽回を狙いましたが、44周目にセーフティカーが導入に。最終コーナーでGT500車両がトラブルからストップしたことが原因でした。50周目にセーフティカーが解除されてレース再開。その後阪口選手は第一スティントと同様に行く手を阻まれる状況に苦しみましたが、それでも前が開けた状況では1分21秒台と、想定したレースラップを刻みました。そして76周目の1コーナーでは、アウトから1台をパス。最終的にはトップから1周遅れの16位となりましたが、最後まで諦めない姿勢で走り続け、チェッカーを受けました。優勝はポールポジションから独走態勢を築き上げた♯61 SUBARU BRZ GT300(井口卓人/山内英輝 組)が今季初優勝を遂げました。







■チーフエンジニア 渡邊信太郎
「今回のレースは、第一スティントからエヴォーラが一番不得意とする状況に飲み込まれてしまいました。少なくとも22秒台前半でコンスタントに走れないとトップ10には残れないのですが、序盤の混戦状況がそれを許しませんでした。結果は非常に残念なのですが、今回のレースは(予選から)出し切れるものを全て出し切って臨みました。次戦(オートポリス)では予選をきちんとクリアして、エヴォーラの速さを活かせるレースをしたいと思います」

■ドライバー 加藤寛規

「今回のレースは、“一発のタイム”を出し切れてなくて、苦しい戦いとなりました。マザーシャシーの持って生まれたキャラクターを活かすには、予選で前に出なければいけない。満タン状態で熱い中、競り合いながら22秒台で走りましたが、それがエヴォーラの、本来のパフォーマンスではありません。次戦までにはここを詰めて、結果を出せるレースをするつもりです」
■ドライバー 阪口良平

「自分がコースに出たとき、まだピットインしていないマシンに追いついてしまって。ずっと抑えられ続けてしまったのですが、それをなんとか抜いた後は、徐々にですが順位を上げて行くことができました。前が開けた状況であれば、マシンの状態もすごく良かったです。特にブレーキとタイヤは際立っていて、ずっとコンディションを保ち続けてくれたので、最後までオーバーテイクを試みることができました。順位はよくなかったですが、やれることを全てやったレースでした。次戦はしっかり結果を出して、ウェイトが半分下ろせる茂木につなげ、最後までチャンピオンシップを戦いたいと思います!」