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【SGT-EVORA】SUPER GT 2021 第7戦 IN TWIN RING MOTEGI, MOTEGI GT 300KM RACE レースレポート

2021/11/08



 

11月6日(土)から7日(日)の2日間にかけて、スーパーGT第7戦「MOTEGI GT 300KM RACE」が開催されました。戦いの舞台となったのは、今季初muta Racing LOTUS EVORA MCが優勝を飾った「ツインリンクもてぎ」。サクセスウェイトが半分下ろされる今大会で、muta Racing INGINGは加藤寛規/阪口良平選手と共に、300kmのレースを全力で戦い抜きました。

 



 

■公式練習走行

土曜日の9:20から開催された公式練習走行は、まず加藤選手がmuta RACING LOTUS EVORA MC(以下SGT EVORA)のステアリングを握りました。今大会における注目ポイントは、これまで搭載されていたサクセスウェイトが、半分になることでした。コーナリングスピードを最大の武器とするSGT EVORAにとって、これはひとつの大きなアドバンテージとなります。もちろんライバルたちも同条件ですが、舞台となったのは第4戦にSGT EVORAが優勝を飾ったツインリンクもてぎ。アドヴィクスと共に開発を進めるブレーキシステムを武器に、制動時の性能が大きく求められるもてぎラウンドを攻略することが、ひとつの大きなポイントとなりました。予選Q1のアタッカーを務める加藤選手は、タイヤの選定や持ち込みセッティングの確認といったルーティンのメニューを順調にこなしながら、まずは1分47秒314のタイムを刻んで12番手に。そして17周目には1分46秒993をマークして、クラス6番手に躍り出ました。

ここでいったんマシンはピットへと戻り、阪口選手へとスイッチ。ロングラン用のセッティングを担当した阪口選手は1分49秒台後半から中盤をコンスタントに刻み、ベストラップでは48秒台に入れる好調ぶりを発揮しました。そしてGT300クラスの占有走行では、さらにタイムを縮めて1分47秒725をマークしました。公式練習走行はその後大きなアクシデントもなく、順調に推移しました。トップは1分45秒962をマークした♯9 フェラーリ488GT3(木村武史/ケイ・コッツォリーノ組)でした。SGT EVORAの順位は、最終的に7番手となりました。

 



 

■公式予選1回目(Q1)

14:20から始まった公式予選は、加藤選手が予選Q1を担当。SGT EVORAは14:39からのBグループに出走し、12台のライバルたちとQ1突破を掛けて戦いました。それは、驚くべき接戦でした。いつも通り、3周目を掛けてじっくりとタイヤをウォームアップさせる加藤選手とは対照的に、GT3勢は序盤から激しいタイム合戦を展開。まず♯7 BMW M6 GT3(荒 聖治選手)が1分46秒995でトップに立つと、そこから次々にタイムが塗り替えられて行きました。かたや4周目からアタックに入った加藤選手は、1分47秒148のタイムを刻んで8番手に。Q1当落線上のポジションを踏まえ、加藤選手は翌周もアタックを行いました。
その間にもタイムは続々と更新され続け、SGT EVORAの順位はQ1突破圏外の11位にまで追いやられました。しかしここから加藤選手はセクター1で0.2秒、セクター2で0.163秒とタイムを更新し続け、チェッカーフラッグの振られるコントロールラインを目指します。そして最終セクターでは僅かながらも0.01秒タイムを縮め、トータルで1分46秒763をマーク。まさにギリギリの接戦に競り勝って、7番手で予選Q1を突破したのでした。Q1-Bでトップにたったのは、1分46秒179をマークした♯35 LEXUS RC F GT3(ジュリアーノ・アレジ選手)。そこから8位 ♯30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(織戸 学選手)までのタイム差は、わずかに0.588秒という接戦でした。

■公式予選2回目(Q2)

15:13から始まった公式予選Q2は、阪口選手がアタックを担当しました。「加藤選手から状況を聞いていた」という阪口選手は、同じく3周を掛けてタイヤをウォームアップ。翌周からアタックに入りましたが、そのタイムは1分48秒004と伸び悩みました。この状況に対して阪口選手はアタックを続行し、そのタイムを1分47秒145へと伸ばしました。しかしライバルたちの伸び幅はそれ以上に大きく、エヴォーラは14番手で予選Q2を終えました。ポール・ポジションを獲得したのは、1分45秒654をマークし、コースレコードを塗り替えた♯18 NSX GT3(名取鉄平選手)でした。また13番手までが46秒台という、非常に厳しい戦いとなりました。

この結果に対して阪口選手は「加藤選手から(路面の状況について)話を聞いていたんで、自分でも注意はしたのですが……。それでもフロントタイヤをいち早く暖めることができませんでした。前が詰まっていたこともあるのですが、もっとブレーキで温度を上げておくべきでした……」と悔しさを滲ませました。対して渡邊チーフエンジニアは「Q1の戦いが予想以上に激しく、ここを通過できたのは大きいです。7列目であれば、トップグループが見える位置から走り出せますから。我々は決勝での戦いも見越したタイヤ選択をしており、決勝レースではよいペースで戦えると思います」と締め括ってくれました。

 



 

■決勝レース

気温19度、路面温度30度。みごとな秋晴れとなった快晴の空の下で、決勝レースは13:00から予定通りにフォーメーションラップをスタート。14番グリッドからスタートしたSGT EVORAは、27台のライバルたちと共に63周のレースを戦いました。

 



 

スタートドライバーを務めたのは、加藤選手でした。序盤こそ混戦のなかで立ち上がり加速に勝るGT3勢に先行を許した加藤選手でしたが、その後はコンスタントに1分50秒台をマークし続け、5周目にはひとつ順位を取り戻して15番手に。その後もSGT EVORAは狙い通りに走り続けました。しかしその後、思わぬトラブルがSGT EVORAに発生しました。レースは10周目にGT500クラスのマシンがスピンを喫したことで、FCY(フルコース・イエロー)に。その後ほどなくFCYは解除され、レースも再会します。しかしこのとき加藤選手は、マシンに違和感を感じていました。リアの挙動が不安定になり始め、その兆候は走り続けるほどにひどくなって行ったのです。この状況を受けたチームは、マシンをピットへと戻しました。
ここからメカニックたちは迅速にマシンをチェックし、問題と思われる箇所に応急処置を施しました。またセッティングを小変更することで不安定な挙動への対策を講じ、阪口選手をコースへと送り出しました。

 



 

このタイムロスによってレースは完全に勝負権が失われてしまいましたが、不具合に対する確認やデータの収集を行うために、阪口選手は最後まで走り抜き、24位でチェッカーを受けました。
レースは予選5番手から着実な走りで順位を上げ続けた♯21 Audi R8 LMS(川端伸太朗/篠原拓朗 組)が、みごとに今季初優勝を飾りました。

 



 

次戦はいよいよ最終戦が、11月27日(土)から富士スピードウェイで開催されます。富士スピードウェイは1.5kmのストレートを持つパワーサーキットであると同時に、コーナリングパフォーマンスも求められるコースであり、SGT EVORAは第2戦に予選5番手を獲得しています。チームはこの戦いで有終の美を飾るべく、全力を尽くして臨みます。今季最後となるSGT LOTUS EVORAの勇姿を、応援よろしくお願い致します!

 

■チーフエンジニア 渡邊信太郎

「今回トラブルの要因は、ディファレンシャルでした。公式テストや予選の周回数で不具合は出ないのですが、決勝のロングランになると、リアが不安定になる兆候が徐々に出てきてしまいました。オーバーステアの兆候が出始めるまでのタイムの推移を見ても、タイヤチョイスは悪くなかった。今回は無交換を視野に入れていて、50秒台のラップで安定して走れていれば、トップ5は狙えたと思います。トラブルの原因をきちんと精査して、最終戦には万全の状態で臨みます」

■ドライバー 加藤寛規

「最初の5周くらいはマシンの状態も非常によく、タイムも狙い通りに出せていました。しかしFCYが開けたあたりからいつもとは違うリアの動き方をし始めて、それがどんどんひどくなって行ってしまって……。マシンが完全に壊れてしまうといけないのでそれを伝え、ピットインということになりました。今回は残念な結果になりましたが、トラブル以外はマシンもタイヤもいい状態なので、最終戦も応援よろしくお願いします!」

■ドライバー 阪口良平

「ピットで応急処置を施してからのレースだったので勝負権はなくなってしまいましたが、自分は最後まで走り切ることが大切だと考えているので、ゴールできたことはよかったと思います。マシンはアクセルオフでリアの挙動が不安定になってしまう状況だったので、少しでもトラクションを掛けて安定させる走りに切り替えました。そうした状況できちんと走りきることで、ブレーキやタイヤの変化量を確認することもできましたし、この積み重ねが次のレースにつながると思います」