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SUPER GT 2020 第5戦 IN FUJI SPEEDWAY FUJI GT 300KM RACE レースレポート

2020/10/05




10月3日(土)から4日(日)の2日間にかけて、スーパーGT 第5戦「FUJI 300KM RACE」が開催されました。シーズン折り返しとなる富士ラウンドは、今年初めての観客動員レースとなりました。第2戦富士での優勝、第3戦鈴鹿での3位入賞から、現在シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)の順位はチャンピオンシップで4番手(ドライバーランキング)に付けています。対してそのウェイトはトータル128kgと、マザーシャシーにとっては非常に厳しい状況となりましたが、カーズ東海ドリーム28は、チーム一丸となってこの闘いに臨みました。


■公式練習走行


9:15から始まった公式練習走行は、まず加藤寛規選手がSGT EVORAのステアリングを握りました。ここで加藤選手は、今大会を見越して持ち込んだタイヤが、コンディションに対しフィットしないことをいち早く指摘。そのタイムも、実際に1分38秒074と伸び悩みました。ちなみにこれは、7月の開幕戦でSGT EVORAが記録したプラクティスのタイム(1分36秒719)と比較して、約1.3秒も遅れを取っていました。気候は涼しくなっていましたが、1.5kmのストレートを持つ富士スピードウェイでは、ハンディウェイトが重くのしかかる形となったのです。対してライバルたちは総合ウェイトの軽いチームが上位を占め、トップが1分37秒台前半、ここから実に13番手までが37秒台で並びました。しかしチームは諦めることなく、ここから予選/決勝に向けての対策を講じました。まず問題となったタイヤを変更し、タイヤと路面状況に対して、SGT EVORAのセッティングを細かく合わせ込んで行ったのです。結果的にタイムだけを見ると、後半を担当した柳田選手の1分38秒004がチームベストとなり、公式練習走行は19位で終わりました。しかしこのタイムはユーズドタイヤでマークされたものであり、チームは予選への戦いに微かな望みをつないでいました。


■公式予選1回目(Q1)


14:00から10分間で争われた1回目の公式予選、SGT EVORAはAグループでの出走となり、柳田選手がアタックを担当しました。公式練習走行での走りを見る限り、Q1突破すら危ぶまれたカーズ東海ドリーム28。しかしチームは最後までマシンの調整を行い、柳田選手もその期待に応えました。ウォームアップを終えた計測2周目。柳田選手は1分37秒686のタイムを刻むと、なんといきなりトップへと躍り出たのです。その後ウェイトの軽いライバルたちが計測ラインを通過すると、SGT EVORAの順位は徐々に後退して行きました。さらにランキングトップの♯11 日産GT-R GT3(安田裕信選手)が1分37秒334のタイムを叩き出し、トップを奪取。ここで柳田選手は二度目のアタックに臨み、1分37秒345のタイムを刻んで再び2番手に浮上! その後ほどなくチェッカーフラッグが振られました。最後はラストアタックに臨んだ2台のマシンに順位を奪われたものの、SGT EVORAは4番手のポジションを獲得。公式練習走行での暗雲を吹き飛ばし、見事に予選Q1を突破したのでした。




■公式予選2回目


14:52から始まった公式予選2回目。柳田選手の走りを見て「これなら行ける!」と感じていた加藤選手は、いつもよりも早めに、そして積極的にタイヤをウォームアップしました。そして計測2周目から1分37秒363のタイムを刻み、柳田選手と同じくいきなりトップへと躍り出ました。その後ライバルの奮闘からSGT EVORAの順位は下がって行きましたが、翌周のアタックでSGT EVORAは1分37秒122へとタイムアップを果たし、6番手に再浮上。最終的には8位と、予想以上の結果をもって予選を終了しました。


■決勝レース


迎えた日曜日の決勝レースは、予定通り13:00からスタートし、66周(GT500換算)の周回数で争われました。朝方まで降っていた雨も午前中には降り止み、レースが始まる頃には曇り空ながらも、路面は完全なドライコンディションとなりました。スタートを担当したのは加藤選手でした。




前後をGT3マシンに挟まれながらも、絶妙なスタートを決めた加藤選手はオープニングラップでポジションをキープ。しかし前方ではGT500車輌の接触からクラッシュが発生し、コース上のデブリ(パーツの破片)を回収するべく、早々にセーフティカーが導入されました。レースは4周目に再スタート。その翌周、加藤選手は後続の♯4 メルセデス AMG GT3(片岡龍也選手)に抜かれ、ひとつ順位を落としました。その後も加藤選手は粘り強い走りを続けて、GT3勢と激しい攻防を展開します。しかし今回の闘いは、以前の富士のようには行きませんでした。SGT エヴォーラの長所を活かすためには、コーナリングスピードを可能な限り殺さない走りが求められます。しかし行く手をGT3勢に塞がれることでブレーキングポイントが手前になり、速さを活かすことができなくなってしまうのです。ただでさえ加速力に劣るマザーシャシー、さらに128kgのウェイトを搭載するSGT EVORAは、立ち上がり加速の差でGT3勢の後塵を浴び続けました。そして柳田選手に交代する頃には、その順位を15番手まで落としていました。この状況は、第2スティントでも変わりませんでした。


21番手でコースへと復帰した柳田選手は懸命に走り続けましたが、その順位を上げることは叶わず、むしろ徐々に落ちて行きました。ここでチームは50周目に、SGT EVORAをピットインさせました。勝負権が完全に失われていたこともあり、前後のいない状況でニュータイヤのタイム推移を確認するなど、可能な限りのデータ収集を行ったのでした。レースは47周目にトップへと躍り出た♯56 日産GT-R GT3(藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組)が、そのまま逃げ切って今季初優勝。シンティアム・アップル・ロータスは28位でチェッカーを受けて完走しました。




次戦は10月24(土)から開催される鈴鹿ラウンドです。チームは今回の闘いを通じて得た問題点を精査して、諦めずにチャンピオンシップ争いに挑みます。ロータス・ファンのみなさんのためにも、ホームコースでの活躍を目指しますので、変わらぬ応援をよろしくお願いします!


■渡辺信太郎チーフエンジニア

「今回のレースはチームもドライバーもノーミスだっただけに、非常に残念です。ウェイト搭載によるマザーシャシーの弱点が、そのまま出た結果だと言えます。我々としても可能な限りダウンフォースを減らしてトップスピードを確保しているのですが、立ち上がり加速の無さは、どうにもできませんでした。次戦は鈴鹿ですが、さらにウェイトが重たくなることもあり、正直チャンピオン争いは難しい状況に直面しています。いますぐに何をどう対策すればよいかは言えないのですが、ともかく予選での順位を上げて、エヴォーラの速さを活かせる闘いをしたいと思います。次戦も応援、よろしくお願いします!」

■ドライバー 加藤寛規選手

「今回は完璧にタイヤを外してしまい、どうにも戦いようがありませんでした……。予選はタイヤの状態がとても良かったのですが、決勝日は気温がかなり下がってしまい、タイヤが発動するレンジを保って走り続けることが全くできなかった。ただ決勝中も走り方を色々と変えながら試したことで、タイヤの傾向が少しつかめたと思います。次の戦いまではこのデータを活かして、ベストなタイヤチョイスができるようにしたい。そして鈴鹿では、きちんとポイントを獲得したいと思います!」

■ドライバー 柳田真孝選手

「今回のレースはもちろん重さも効いているのですが、最大の要因はタイヤの性能を出し切れなかったことだと思います。我々の履いている高いタイヤの特性と、決勝日の気温の低さが合わなかった。ですからレースが終わったあとも、ずっとタイヤエンジニアと話し合っていました。次戦の鈴鹿では、少しでもこの状況を改善させて、チャンピオンシップを闘いたいと思います。応援、ありがとうございました!」