Lotus logo

SUPER GT 2020 第4戦 IN TWIN RING MOTEGI MOTEGI GT 300KM RACE レースレポート

2020/09/14



9月12日(土)から13日(日)の2日間にかけて、スーパーGT 第4戦「MOTEGI GT 300KM RACE」が無観客試合として開催されました。第3戦 鈴鹿ラウンドで3位の成績を収めたシンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)は、ポイント獲得によるハンディと大会直前の性能調整変更によって、158kgものウェイトを搭載。これを受けたカーズ東海ドリーム28は、SGT EVORAのセッティングを再度入念に調整して、加藤寛規/柳田真孝選手と共に、もてぎラウンドに臨みました。

■公式練習走行

10:00から始まった公式練習走行。ここでSGT EVORAは、大方の予想を覆す、素晴らしい走りを披露しました。サクセスバラスト(ポイント獲得によるウェイト搭載)で93kg。大会直前のBop(バランス・オブ・パフォーマンス:性能調整)によって15kg。Bopとしては合計65kg、バラスト総重量としては実に158kgものウェイトを、SGT EVORAは背負っていました。


しかしチームはチャンピオンシップを闘うべく、SGT EVORAのセッティングを入念にアジャスト。これが功を奏し、加藤選手は小雨混じりの難しコンディションのなか、1分49秒135というタイムを叩き出し、中盤で6番手に浮上したのでした。また決勝を見越して燃料を多く搭載した柳田選手も、走行終盤に1分49秒201をマーク。その後はライバルたちの躍進もあり、最終的にSGT EVORAの順位は9番手となりましたが、ポイント圏内を見据えたその走りは、予選への期待を大きく高めました。




■公式予選1回目

14:30から始まった公式予選1回目(Q1)は、30台のマシンがA/Bグループに別れて出走。SGT EVORAはBグループに組み込まれ、柳田選手がQ1のアタックを担当しました。予選に際して柳田選手は、非常にポジティブでした。公式練習走行で使ったタイヤの感触が非常に良く、今にも雨が降り出しそうなコンディションの中でも、いち早くタイムを出せる手応えがあったのです。またチームもこの路面状況を想定して、公式練習走行中にタイヤのスクラブ(皮むき)を済ませ、最善の準備を行っていました。しかしアウトラップで、悲劇は起こりました。柳田選手がドライブするSGT EVORAは、130Rを抜けたS字コーナーでまさかのスピン。コースアウトしたマシンはグラベルベッドに捕まり、再びコースへ戻ることは叶いませんでした。「雨でタイヤが暖められなかったわけではないんです。むしろその暖まりはとても早くて、『これなら行ける!』という感触がありました。……これは完全に、自分の過信です」悲劇の直後にも関わらず柳田選手は紳士的にコメントしましたが、その表情には悔しさが滲み出ていました。このコースアウトによって、予選は赤旗中断に。原因を作ったSGT EVORAは、残念ながら決勝レースを最後尾からスタートすることとなりました。




■決勝レース


迎えた日曜日の決勝レースは、予定通り13:00からスタートし、53周(GT500換算)の周回数で争われました。午前中とはうって変わって、天候は曇り空に。ここでチームは、ピットスタートを選びました。そこには予選で痛めてしまったタイヤを、新品タイヤに交換してスタートするという意図がまずありました。ただそれだけでなく、チームは突然の雨にも対応する構えだったのです。




残念ながらその準備は不発に終わりましたが、第一ドライバーを務めた加藤選手は走り出しからニュータイヤで早々に追い上げを開始し、7周目には27番手まで順位を上げました。レースは9周目にV字コーナーでのクラッシュからセーフティカーが導入されました。ここで前車との間隔をさらに詰めたSGT EVORAは、リスタートした14周目から再び追い上げを開始。

 



そしてライバルのピットインや脱落にも助けられながら13位まで順位を上げ、24周目に柳田選手へと交代しました。しかしこのときすでにピットでは、ひとつの作戦が不発に終わっていました。当初はタイヤ交換をせずピット滞在時間を短縮する予定でしたが、第一スティント中盤におけるタイムの推移からこれを断念。タイヤ4本を交換して、SGT EVORAをコースへと送すことになったのです。それでも柳田選手は諦めることなく、23番手から追い上げを開始。そして路面状況や気温を味方に付けながら、安定したタイムを刻み続けました。しかし42周目に導入されたセーフティカーは、SGT EVORAにとって有利には働きませんでした。順調な流れが断ち切られた上で、終盤の5周で固定されてしまったのです。47周目のリスタートから、柳田選手は再び懸命に追い上げを開始しました。そして19位だった順位を着実に上げて行きましたが、最終的には13番手でゴール。ポイント獲得まであと僅かというところで、59周のレースを終えることとなりました。レースは予選13番手からみごとな追い上げを見せた♯65 メルセデスAMG GT3(蒲生尚弥/菅波冬悟 組)が、今季初優勝を飾りました。


■渡辺信太郎チーフエンジニア

「第一スティントは順位こそ挽回しましたが、予想以上にペースが上がらなかった。これによってタイヤ無交換作戦ができなかったのが非常に残念でした。後半のスティントで速さを取り戻せたのはコンディションの変化だと思いますが、原因はファクトリーに戻ってから精査します。次戦からはますます厳しい闘いになりますが、取りこぼしなくチャンピオンシップを生き残りたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」


■ドライバー 加藤寛規選手

「昨日の予選から今日は荒れると予想していたので、1ポイントでも2ポイントでも取りたいと思っていたのですが……。でも結果はともかくとして、レースを臨機応変に対応できたことは、チームにとって明るい材料だと思います。またテストができていないコースのデータが取れたので、これを次に活かしたいと思います」


■ドライバー 柳田真孝選手

「加藤選手が何台も抜いてきてくれたのですが、スタートの順位がいかんせん最後尾だったので……今週は本当に、チームに迷惑を掛けてしまいました。自分のレースは切り替えて、最後まで諦めずに走りました。ただ順位は上げられたのですが、もっと速さを出せはずだとも感じたので、残りの闘いのためにもこれを改善して行きたいと思います」




第5戦は10月3日(土)から開催する富士ラウンド。SGT EVORAでの初優勝を飾ったコースで再び上位を目指し、チーム一丸となってチャンピオンシップ闘い抜きますので、応援よろしくお願いします!