■公式練習走行
ゴールデンウィーク真っ盛りの5月3日（火）、スーパーGT 第2戦 FUJI 500km RACEの予選が開催されました。 開幕戦（岡山国際サーキット）から一転して、富士スピードウェイはパワーが物を言うサーキット。大排気量エンジンや高出力ターボを搭載するFIA-GT3マシンや、モーターを搭載すJAF-GTマシンに対向するべく、シンティアム・アップル・ロータス（SGT EVORA）もその空力特性を開幕戦よりも空気抵抗の少ないローダウンフォース仕様に変更して、1.5kmに及ぶストレートに対応しました。
午前9:00から始まった公式練習走行では、まずエースドライバーである加藤寛規選手がコースイン。こまめにピットインを繰り返しながら、精力的にセッティング変更を繰り返して行きます。そして17周目には1分37秒572のラップタイムを記録。これは全体でも6番手と、コーナリングマシンであるSGT EVORAにとっては非常によいスタートを切ることができました。 また高橋一穂選手も14周の周回をこなし、予選に備えました。
■予選第1回目（Q1）
14:30から15分のスパンでQ1が始まりました。空は薄曇り、路面温度は27℃と、公式練習走行とほぼ変わらないコンディションでした。 Q1ドライバーを担当したのは、エースである加藤選手。というのもこのときSGT EVORAは、そのセッティングを大幅に変更していたのでした。 もっともわかりやすいのは、その外観です。フロントバンパーに付いた「フリックボックス」など、ストレートで空気抵抗を減らすためのパーツたちが取り払われ、“ハイダウンフォース仕様”になっていたのです。
FIAｰGT3勢が続々とコースインするなか、加藤選手はクリアスペースを確保するべくタイミングを見計らいます。そして残り12分となった次点でアタック開始。タイヤが暖まり出した3周目には1分37秒119、そして4周目には1分36秒578という素晴らしいタイムを刻み、なんと苦手なはずの富士スピードウェイで、Q1を4位通過したのでした。
■予選第2回目（Q2）
Q2は定刻撮り15：30から、Q1よりも短い12分間で争われました。 残り9分となった次点で高橋選手はコースイン。アタックに入った3周目には1分39秒384を刻み10位に浮上。4周目には1分38秒420と登り詰めるも、まだまだタイムの伸び幅が足りませ
ん。かたやライバルたちは尻上がりにタイムを縮め出し、SGT EVORAの順位は少しずつ落ちて行きました。 そしてラストアタックである5周目に最後の望みをかけるも、高橋選手のタイム更新はならず。残念ながら14位でQ2を終えました。
ポールポジションは1分35秒707でコースレコードを刻んだNo.55 BMW M6 GT3でした。
明日の決勝は中盤からのスタートとなりますが、レースは500kmの長丁場。ピットタイミングや作戦を駆使してその順位をひとつずつ上げ、上位進出を狙いますので応援宜しくお願いいたします。
Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス
ドライバー：加藤寛規選手
「朝のフリー走行で、（今回のコンディションに対して）足りていない部分があるとわかって、そこを大幅に変えて予選に臨みました。タイムも出ましたし、フィーリング的にはとてもよくなりましたよ。ただその仕様は、決勝レースには向いていないんです。ですからこれをどう解決するべきか、いまエンジニアと話合っています。 わかりやすく言えばコーナーを取るか、ストレートを取るか。そのバランスを考慮しているところですね。」
ドライバー：高橋一穂選手
「練習走行はかなり走ることができ、フィーリングもつかんでいました。だから予選はQ1も担当する気持ちはありましたが、SGT EVORAのセッティングが大幅に変わったため、加藤選手が先に走りました。 Q2では、（よりダウンフォースが増えた）マシンに対してすぐに走りを合わせきることができなかったですね。Q1を終えた加藤選手に、その特性を教えてもらって臨んだんですけれど……。とっても悔しい気持ちで一杯です。」
チーフエンジニア： 渡邊信太郎
「今年に入ってから、タイヤの性能を使い切れていない状況が続いています。確かにフリー走行では6番手のタイムが出せましたが、ドライバーとしてはグリップが全然足りない状況だったんです。 ですから予選では、富士スピードウェイとしてはあり得ないくらいダウンフォースを付けました。ただし加藤選手も言うとおり、これだとレースでは闘えません。最高速が極端に落ちるため、ストレートが長い富士では集団に飲み込まれてしまうんです。これを解決する仕様を明日までに見つけ出したいと思っています。」
2016.05.03