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SUPER GT 2019 第5戦 IN FSW 500MILE レースレポート

2019/08/06

 


 

8月3日(土)/4日(日)の2日間にかけて、スーパーGT 5戦「FUJI GT 500MILE RACE」が開催されました。 今年二度目の富士ラウンドは、シリーズ最長となる500マイルレース。 この長丁場を乗り切るべくCars Tokai Dream28は、加藤寛規/高橋一穂選手のレギュラードライバーに加え、欧州ブランパンGTでも活躍するジェントルマンドライバー、濱口 弘選手を第3ドライバーに起用。シンティアム・アップル・ロータス(SGT LOTUS EVORA)と共に、真夏の耐久レースに挑みました。

 


 

■公式練習走行

公式練習走行が始まった時点から、Cars Tokai Dream28には苦しい展開が待ち受けていました。前戦タイラウンドでのペナルティにより、エースである加藤選手の出走が105分間のうち、60分間出走を制限されていたのです。 これによってチームは、通常行うメニューを変更。タイヤの選択は最初からフィックスし、まずジェントルマンドライバーである高橋選手と、濱口選手のマシン習熟に時間を割くことに方針を固めました。 ここで高橋選手は、若干のセッティング変更も含め計13周を走行。タイムも1分41秒048まで刻んで、濱口選手へとバトンをつなぎました。 そして濱口選手も、計測1周目から41秒台へと突入。2年ぶりのヨコハマタイヤを確かめるべく、さらなるアタックに突入しました。 しかしここで、さらなるトラブルがチームを襲います。 濱口選手は無線で「ギアが入らない」とチームに連絡。そしてほどなくSGT EVORAの右リアエンドからは、一瞬の煙のあと火の手が上がったのでした。 濱口選手はオフィシャルの支持に従いマシンをファイアーステーションまで運び、すぐさま待避。幸い炎はすぐに収まり、SGT EVORAはピットへと戻されました。 トラブルの原因は、トランスミッションパーツの破損でした。 これによって公式練習走行は赤旗中断となったものの、ほどなくして走行再開に。 チームもスペアパーツを使い迅速に対処しましたが、修復に時間を要したためその後の走行は全てキャンセルに。 ふたりのドライバーの周回数を稼ぐこと、そして加藤選手のセッティングすらできないまま、予選へと突入したのでした。

■公式予選1回目

しかしここでチームは、ひとつのチャレンジをしました。14:50から始まった公式予選1回目(Q1)では、アタッカーに濱口選手を起用したのです。もしここで濱口選手がQ1を通過できれば、Q2をエースがアタックするという、最も理想的なパターンが構築できるのです。 そして濱口選手は、この期待に応える走りを魅せました。 習熟も兼ねた2周のウォームアップを経て、3周目に刻んだタイムは1分40秒597。まだまだこれからという状況でしたが、タイムボード上では4番手に浮上します。 その後はライバルたちもアタックに入ったため順位を落として行きますが、濱口選手もアタックラップに入った4周目には1分39秒台に突入し、13位まで順位を押し戻したのでした。 ここからはライバルたちとのシーソーゲームとなりました。 濱口選手は5周目に1分39秒006までタイムを詰め、SGT EVORAは再び12番手まで順位を回復。 しかしライバルたちも負けじとタイムアップを果たしたことで、SGT EVORAの順位は圏外へと下がって行きます。 これを再び圏内へと戻すべく、濱口選手はアタックを続けましたが、タイヤのピークは過ぎており、6周目はタイムアップならず。この後もセクタータイムが更新できなかったことで、残念ながらそのままマシンをガレージへと戻すこととなりました。 最終的な順位は24番手となり、残念ながらチームはQ2への進出を果たせませんでした。しかし、まさにぶっつけ本番でこれに立ち向かった濱口選手の走りを渡邊チーフエンジニアも高く評価し「各周ベストをつなげば38秒中盤、順位的にも十分Q1を突破できる可能性はあった」とコメントしました。習熟時間が足りなかったことだけが、何とも悔やまれる予選でした。 ポールポジションはQ2で1分37秒316を刻んだ♯52 SAITAMA TOYOPET GB MARK X(脇坂薫一/吉田広樹 組)が獲得しました。

 


 

■決勝レース

日曜日はロングランレースということもあり、通常より早い13:30からスタート。1周のパレードランのあとセーフティカー先導を行い、これがコースインすると500マイルレースの幕が上がりました。 スタートドライバーは加藤選手が担当。ここでエースの貫禄を見せつけました。 加藤選手は直前に行われたウォームアップ走行で、SGT EVORAを初ドライブ。にも関わらず1分39秒370のタイムを刻み、GT300クラスのトップタイムをマークしていました。 そして加藤選手は、第一スティントからその鋭い走りで追い上げを開始します。 24番手からスタートしたSGT EVORAはひとつずつライバルを追い抜き、24周目には遂にトップテンまで浮上しました。 チームは4回のドライバー交代が義務づけられたこのレースで、まずはエースに最大限の周回を走らせる作戦を立てていました。 これを受けて加藤選手は、上位陣がルーティンピットに入り出して走り続けます。 そして39周目でピットインする頃には、その順位も2番手まで上り詰めていました。 このバトンを受けた濱口選手は、予選以上に素晴らしい走りでチームの期待に応えました。

ニュータイヤのウォームアップを終えて追い上げを開始すると、1分41〜42秒のペースで快走。「鈴鹿で乗ったハイダウンフォース仕様とは全く違った」と最初は戸惑いながらも、ついには1分40秒台を刻むまでになったのです。 レースは64周目を迎えた時点で一台のGT500マシンが100Rをコースアウト。激しいクラッシュが起こりました。 ここでオフィシャルはまずドクターカーを投入しましたが、レースは続行。このときチームは、濱口選手の走りを評価してSGT EVORAをコースに留まらせていました。 対してライバルたちの中にはピットインをするチームもあり、SGT EVORAの順位は2番手に。そして66周目にセーフティカーが入りました。 セーフティカーが解除されると、濱口選手は変わらぬ速さで走り続けました。そしてトップに立った76周目から、80周目までポジションを守り抜いてルーティンのピットに入りました。

第三スティントは再び加藤選手がステアリングを握りました。 ここでも加藤選手は1分40秒台をコンスタントに刻み、ポジションを挽回して行きます。そして90周目にトップテンまで返り咲くと、上位陣を相手に猛追を開始します。 そしてレースが100周に差し掛かろうとする頃、ホームストレートで一台のGT500マシンが白煙を上げました。 これを受けたオフィシャルは今回二度目のセーフティカーを導入。 しかし今回はトップグループと同一の周回にいたため、その差が一気に詰まる幸運にもチームは恵まれました。 そしてライバル達が三度目のルーティンピットを行う間にトップに立つと、好タイムを連覇しながら予定通り120周目まで走り抜きました。

第四スティントは高橋選手がドライブしました。 加藤選手の好走を受けて11番手から追い上げを開始した高橋選手は、序盤こそ混戦の中でペースをつかめず順位をひとつ落としたものの、懸命にそのポジションをキープします。そしてライバル達のピットインとラップタイムの上昇が重なり、19周を走り抜いて、6番手で加藤選手に最後のスティントを託しました。 高橋選手がショートスティントだったこともあり、最終スティントでチームは給油のみを行って加藤選手をコースへと送り出しました。 ここで加藤選手は、ユーズドタイヤながらも1分40〜41秒台のタイムで走り続けます。 しかし最終スティントは真の上位陣たちが最後の力を振り絞っており、簡単にはこれを抜くことができませんでした。 それでも加藤選手は14位のポジションから149周目には13位、153周目には12位とポジションを上げました。 念願のポイント獲得まであとふたつ。しかし最後は前車との差は埋まらぬまま、GT500マシンが175周を消化。161周の周回をもって、500マイルレースの幕は閉じることとなりました。

 


 

■チーフエンジニア 渡邊信太郎

「土曜日はトラブルで思うように走れませんでしたが、日曜日のウォームアップで加藤選手が、フルタンクの状態でトップタイムを出してくれたことは、決勝レースに向けて大きな安心材料になりました。 決勝ではペースが非常によく、さらにチーム全員がノーミスでレースを戦えたことも良かったと思います。そしてタイヤマネージメント面を含め、さらに攻める戦略の導入を、今後の課題としたいと思います」

■ドライバー 加藤寛規選手

「富士でのレースは今年二回目ですし、チームにはデータの蓄積も十分にあったので、いきなりの出走でもこれに対応することはできました。レースらしいレースができたのは良かったですね。 今回はポイント獲得まで本当にもう少しでした。ただスタート位置は後方からでしたし、当然上位陣は速いチームばかりですから、簡単には行かないです。次回はもっと詰めるべきところを詰めて、がんばりたいと思います」

■ドライバー 高橋一穂選手

「走り始めでニュータイヤを素早く機能させるという部分が、集団に飲み込まれたときにまだまだできていないです。練習走行では少ない周回数ながら、燃料を積んでも41秒台は出せていたので、それを実践できなかったのも本当に悔しい。でもチームは全員がよい方向でまとまっていて、とてもよかったと思います」

■濱口 弘選手

「予選でクルマとタイヤの関係を理解することができ、決勝の走りに活かすことができました。でも富士で(エヴォーラに)乗るのは、実は初めてなんです。ローダウンフォース仕様の感触(ダウンフォース量)が、ハイダウンフォース仕様とは全っ然違っていて、最初はとても驚きました(笑)。 それでもマシン自体はとても速くて、バランスも非常によかったので、レースでは特別プッシュしなくてもライバルたちを抜くことができました」

 


 

応援ピットツアーにご参加頂き、誠にありがとうございました。
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