2020/11/10
11月7日(土)から8日(日)の2日間にかけて、スーパーGT 第7戦「MOTEGI 300KM RACE」が開催されました。いよいよシリーズも、このもてぎラウンドを合わせてあと2戦を残すのみ。チャンピオンシップ争いにおいて重要なカギを握るこの闘いを、カーズ東海ドリーム28と加藤寛規/柳田真孝選手は、シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)と共に全力で闘いました。
■公式練習走行
第3戦鈴鹿ラウンド以降、あと一歩のところでポイントを逃し続けてきたカーズ東海ドリーム28。ここでチームはヨコハマタイヤと入念な協議を重ね、新たなスペックのタイヤを持ち込んでいました。さらに今大会は、ポイント獲得によって生じるサクセス・ウェイトが、半分降ろされる条件となっていました。もちろんこれは全車に共通する条件ですが、ウェイト感度が高いマザーシャシー勢にとっては、そのスピードを取り戻すひとつの好条件。SGT EVORAは未だに47kgのサクセス・ウェイトに加え、65kgのBoPウェイトをも背負う苦しい状況でしたが、チームはウェイトバランスを最後まで調整して、今大会に臨んでいました。
9:05から始まった公式練習走行は、まず加藤寛規選手がSGT EVORAのステアリングを握りました。ここで加藤選手は、本命タイヤを履いて走行をスタート。そして計測4周目の早い段階に、まず1分48秒716のタームをマーク。さらに翌周は、1分48秒364までタイムを縮めて、13番手に躍り出ました。しかしこれは、決して本意な状態ではありませんでした。そこでチームと加藤選手はここから、SGT EVORAのセッティングを細かく調整して行きました。しかしその上がり幅は少なく、またライバルたちが予想以上に早いラップタイムを刻んで、SGT EVORAの順位は沈んで行きました。結論としてこれは、本命視したタイヤが今回のコンディションに対して、うまく機能していなことを意味していました。しかしこれは、ひとつの闘いだと言えました。タイヤテストが満足に行えない今シーズンの状況下においては、実績のないタイヤでも、ベストと思ったものを投入する必要があります。ここで果敢に勝負を仕掛けなければ、厳しいチャンピオンシップを勝ち抜くことはできないからです。こうした強い意志のもとに、チームは今回も、ニュースペックのタイヤを投入したのでした。最終的にチームは予選用タイヤを、実績のあるバックアップ用タイヤに変更。その順位こそ21番手に沈みましたが、予選へのかすかな感触をつかんで、公式練習走行を終えました。
■公式予選1回目(Q1)
13:48から始まったBグループの公式予選。Q1突破をかけた闘いは、柳田選手がこれを担当しました。
3周をかけてウォームアップを行った柳田選手は、4周目にアタックを開始。しかしこの周はブレーキング時にマイナートラブルが発生し、タイムは1分48秒141に留まりました。ここで柳田選手は、トラブルの兆候を出さないようにマシンをバランスさせながら、最後のアタックを敢行。こうしてマークしたタイムは1分47秒575と、タイヤの能力を最大限に引き出したアタックとなりました。その結果SGT EVORAは、Q1突破の当落線上となる8番手のポジションに留まりました。
■決勝レース
加藤選手は序盤から快調にマシンを走らせ、3周目には14番手までポジションをアップしました。しかし6周を過ぎた頃からタイヤのグリップダウンが始まり、非常に苦しい展開に。それでも加藤選手は15番手をキープしながら、17周目までその順位を守りました。この状況を確認したチームは、第一スティントをミニマムなプランへと変更。義務周回数をクリアした時点で、SGT EVORAをピットインさせました。折しもこのとき、V字コーナーで止まっていた車両の回収作業のために、コースにはセーフティカーが導入されました。しかしSGT EVORAは既にピット作業に入っていたため、残念ながらこのタイミングを有利に活かすことはできず、柳田選手は22番手でコースへと復帰することになりました。
このとき既にSGT EVORAは、純粋な勝負権を失っていました。またレースもそれ以降、波乱は起こりませんでした。しかしながら柳田選手はレースは最後まで走り抜き、チームポイントとして2ポイントを獲得。24位でチェッカーを受けました。優勝は、予選7番手から躍進した♯56 日産GT-R GT3(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)が今季2勝目を挙げ、チャンピオンシップでもトップに躍り出ました。
■渡辺信太郎チーフエンジニア
「今回ライバルチームは4本交換をしないプランがほとんどだったと思うので、これが前提の我々としては、第一スティントでタイヤが機能しなかった時点で、残念ながら勝負権を失ってしまいましたね。確かにチャンピオンシップは逃す形となってしまいましたが、それでもシリーズランキングにおいて上位を狙う闘いは、まったく諦めていません。富士は最善の走りで勝利を狙いますので、応援よろしくお願いします!」
■ドライバー 加藤寛規選手
「ここまでタイヤのグリップが引き出せなかったのは、初めてです。いろいろな工夫を試みましたが、まったくダメでした……。でも、今回のことはきちんとチームで消化して、セッティングに活かします。最終戦は今持てるものを出し切って、全力闘いたいと思います!」
■ドライバー 柳田真孝選手
「最初はすごくよいフィーリングで走れたのですが、それが持続できなくて。この気温条件に、どうしてもタイヤが合わないみたいです。ただそれもきちんとトライした結果で、タイヤメーカーはすごく突き詰めて努力しています。ボクらは暑い時期はよかったけれど、逆に寒くなって良くなって来たチームもありますから。それだけこのレースのタイヤ開発は、シビアということなんですよね。でも、このままで終わるつもりはありません。きちんと問題を解決して、最終戦に臨みます!」