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SUPER GT 2020 第2戦 IN FUJI SPEEDWAY FUJI 300KM RACE レースレポート

2020/08/10


 

 

 



 

8月8日(土)から9日(日)の2日間にかけて、スーパーGT 第2戦「FUJI 300KM RACE」が開催されました。

開幕戦では公式練習走行でトップタイムを刻み、予選を3位で通過しながらも決勝レースで不運なトラブルに泣いたシンティアム・アップル・ロータス(SGT-EVORA)。これを率いるカーズ東海ドリームは、さらなるマシンのアップデートと共に万全を期して、今年2回目となる富士ラウンドに臨みました。

 



 

■公式練習走行

開幕戦に続き、無観客試合となった第2戦。そのスケジュールは例年と同じく土曜日に、9:45から90分間の公式練習走行が開催されました。第1戦を終えてから実に3週間足らず。チームはここでSGT EVORAにアップデートを施しました。具体的には開幕戦のデータを元にサスペンションのジオメトリーを変更し、メカニカルグリップを改善。またリアには新しい意匠となるスワンネック仕様のウイングを与え、空力バランスに磨きを掛けました。

そんなSGTーEVORAのステアリングをまず最初に握ったのは、柳田真孝選手でした。
柳田選手は予選/決勝に向けたメニューを着実にこなしながらも、わずか6周目で1分37秒399をマークしトップへと浮上!その後は赤旗中断後もコンスタントに38秒台のタイムで走り続け、22周を終えてピットへとマシンを戻しました。そのバトンを受けた加藤選手はマシンとコースのコンディションを確かめるように走行を重ね、29周目に一端ピットイン。その最中にコースは一時赤旗中断となりましたが、再開後の40周目にまず1分37秒327をマーク。そして翌周には1分37秒229へとタイムを更新し、トップを守ったままプラクティスを終えました。

 



 

■公式予選1回目

14:30から始まった公式予選1回目(Q1)は、30台のマシンがふたつのグループに分かれてQ2進出を目指しました。Bグループに組み込まれたSGT EVORAをドライブしたのは柳田真孝選手。ウォームアップの初期段階から手応えを感じていた柳田選手は「計測2周目にアタックすることも可能だった」とコメントしながらもタイヤを労り、翌周にアタックを開始。ここでまず1分36秒775のタイムを出して、堂々トップに躍り出ました。さらにアタックした翌周は1分37秒778と、わずかに記録更新は叶いませんでした。しかしGT300クラスにおいて唯一の36秒台を記録したSGT EVORAは、2番手に0.465秒の大差を付け、トップで予選Q1を突破したのでした。

 



 

■公式予選2回目

15:23から始まった公式予選2回目(Q2)は、加藤選手がアタック。Q1を勝ち進んだ16台との激しい闘いを演じました。アウトラップから2周をかけてタイヤをウォームアップした加藤選手は、計測2周目にまずファーストアタック。ここで1分36秒634のベストタイムを刻んで首位に躍り出ます。しかし翌周は前走車との差が詰まりすぎアタックを断念。この間に♯6 TOYOTA86 MC(小高一斗選手)が1分36秒270の驚異的なタイムを刻み、トップの座を奪い返します。

さらに♯60 SUBARU BRZ GT300(山内英輝選手)が1分36秒445でこれに続き、SGT EVORAは3番手に。
ここで一呼吸置いた加藤選手は1分36秒419のタイムを叩き出し、再び2番手へと浮上。さらに翌周もアタックをかけ、ポールポジションを目指しました。しかしこの間に♯55 ホンダNSX GT3(大湯都史樹選手)が1分36秒378のタイムで2番手に急浮上。対して加藤選手は惜しくもタイムアップを果たせず、3番手で予選Q2を終えました。しかしその闘いは、トップとの差が実に0.149秒。そして2番手との差はたったの0.041秒という激しさ。近代GT300クラスを象徴するような、タイムアタック合戦となったのでした。

 



 

■決勝レース

決勝レースは予定通り13:00から、62周(GT500換算)の周回数で争われました。
スタートドライバーを務めた加藤選手は、序盤の間隙を突いて2番手に躍進。その後もライバルたちと、激しい闘いを繰り広げました。鋭い追い上げを見せたのは、4番手からスタートした♯61 SUBARU BRZ GT300(山内英輝選手)でした。61号車は2周目にSGT EVORAをオーバーテイクすると、♯6 TOYOTA86 MC(坂口良平選手)を猛追。そして8周目のセクター3では、6号車をも抜いてトップに立ちました。
そしてこのとき加藤選手も、61号車と共に6号車をパス。序盤はこの2台が、レースを牽引しました。

互いに同じ空力マシンであるSGT EVORAとSUBARU BRZ GT300。加藤選手はそのテールを捕らえつつも、近すぎ過ぎればダウンフォースを失う難しい状況で、タイヤを労りながら常に1秒を切る間隔を保ち続けます。

レースが動いたのは、61号車がピットインした26周目からでした。
ここでトップに立った加藤選手はペースを落とさず、さらにソフトタイヤを予定よりもたせる素晴らしい走りを見せました。そして加藤選手は30周目にピットインし、柳田選手に交代。

 



 

JAF-GTに対する給油スピードの早さを活かし、SGT EVORAはトップに躍り出たのでした。後ろを走る61号車(井口卓人選手)との差はおよそ4秒。柳田選手はこのマージンを使いながら、見事にレースをコントロールしました。途中ヘアピンでGT500に接触されるレーシングアクシデントに遭遇した柳田選手でしたが、ここでは運も味方して、マシンはペースを維持し続けます。

そして、遂にそのときがやってきました。
第二スティントに入ってからSGT EVORAは一度もトップの座を譲ることなく、61周を走り抜いてチェッカー。2015年の参戦以来SGT LOTUS EVORAは、遂にGT300クラスで初優勝を成し遂げたのでした。

 



 



 

次戦は8月22日(土)/23日(日)に開催される鈴鹿ラウンド。
この優勝でSGT EVORAは60kgのウェイトを搭載することになりましたが、チームは一丸となってチャンピオン争いを闘い、ホームコースでの活躍を目指します。

 



 



 

■チーフエンジニア 渡邊信太郎

「私たちはポールポジションを狙っていたので、予選でソフトタイヤを選びました。ですから決勝は第一スティントが短くなる可能性は当然想定していたのですが、路面温度にも助けられて加藤選手が、これを約半分まで持たせてくれた。ここがまず、今回の勝因のひとつだと思います。そしてピット作業でトップに出ることができ、柳田選手がレースを完璧にコントロールしてくれました。今回の勝利は本当に嬉しいです! 鈴鹿は大量ウェイトを搭載することになります。EVORAはウェイトに対する感度の高いマシンですが、きちんと対策してベストな闘いをするつもりなので、期待していて下さい!」

■ドライバー 加藤寛規選手

「まずこの勝利を、チームオーナーである高橋一穂選手に捧げます! 高橋さんの情熱があったから、EVORAはここまで素晴らしいマシンに仕上がったんです。そして、注目してくれている沢山のロータス・ファンとも、この勝利を分かち合いたいです。今回のレースは、タイヤをもたせることに全てを集中しました。前を走る61号車は本当に似た特性を持つマシンだったので、レースでは抜き所がほとんどなかった。それでもこちらが若干速い部分があることはわかったのですが、無理してタイヤを痛めるよりも、できるだけ周回を稼ぐことにしました。次戦の鈴鹿は……実をいうとこのEVORAで、60kgものウェイトを積むのは初めてなんです(笑)。どうなるのかなぁ……と思いますけど、鈴鹿は得意なコースなのでがんばります!」

 



 

■ドライバー 柳田真孝選手

「まずは勝つことができて、ボクを起用してくれたチームに恩返しできたかな……とホッとしています。レースは加藤選手が予定より長く走ってくれたことで、展開がとても楽になりました。チームからは常に無線で状況を知らせてもらえましたし、自分としても4秒のマージンが得られたことで、落ち着いてレースをコントロールすることができました。とはいえ途中でGT500マシンと接触したときは、衝撃も大きくて『もうダメか!?』と思いました。レースは何が起こるかわからないと思って常々慎重に走っていますが、マシンが無事で本当によかった。鈴鹿は重たくなりますが、前回優勝した52号車が今回も6位に入っているので、チームの総力戦でポイントを取りたい。このチームで、チャンピオンを目指したいと思います!」

 



 

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