No.2 SGT-EVORAは、前日の公式練習時にみまわれた予想外のスターターシステムのトラブルにより出走を断念。現状ではメカニックたちの努力によりシステムの修復も完了していましたが、もし再びスターターが故障すると、これを修復する時間はありません。よってエンジニアおよびドライバーからは「決勝レース走行を最優先とし可能な限りスターターの使用回数を減らすべき」という判断が導き出され、SGT-EVORAのフリー走行への出走は見送られたのです。
決勝レース
決勝レースが始まる14：30分、ピットには緊張が走っていました。リスク回避のためにチームが選んだのは、予選16番手のグリッドを敢えて捨てた“ピットスタート”。とはいえ、たとえピットスタートでもエンジンが掛からなければ万事休す。スペアパーツがない現状では、再びエンジンを始動させる術がありません。静まりかえるピット。スタートドライバーは加藤選手。スタッフ全員が固唾を飲んで見守るなか、何度かのクランキングが行われました。しかしエンジンはなかなか掛かりません。そして誰もが「もうだめか…」と思われた次の瞬間、4.5リッターV8エンジンは目を覚ましたのでした。
ひとつめの山場をクリアしたSGT-EVORAと加藤選手は、見事な走りを見せました。天候はうす曇り、路面はウェットという悩ましい状況で、ほぼ初めてといえるウェット路面でインターミディエイトタイヤを見事に機能させたのです。25位からスタートした加藤選手は着実に順位を上げ、9位にまでジャンプアップ。ベストラップも1分40秒002と、トップ集団と遜色ないタイムを刻みました。そして51周目にピットイン、高橋選手にバトンを渡しました。
二度目のスタートでもエンジンは無事に始動。マシンはアウトラップ12位にてコース上へと復帰することができました。
後を継いだ高橋選手の走りも素晴らしいものでした。新品のインターミディエイトタイヤが暖まると、すぐに1分46秒台へ突入。雨量の増した第2スティントでもライバルにまったくひけを取らないところまでSGT-EVORAの性能を引き出し、雨量の増えた中においても1分45秒629のベストタイムを刻みました。
No.2 SGT-EVORAは16位という結果でしたが、それは数字以上に価値のある完走となりました。
Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス
チーフエンジニア：渡邊信太郎
「今回はスリックよりもインター（ミディエイトタイヤ）の方が、うまく機能させることができましたね。結果的には、雨がやまないでくれて良かったです。高橋選手のペースが非常に良かったのも収穫でした。この状況で46秒台を連発できたことを考えると、今後の闘いにも希望が持てますから。
そしてマシンを無事にゴールさせることができたことが、何より一番重要な点です。今回のレースでは沢山のデータを取ることができましたので、必ず今後につなげて行きます。残念な事にシーズンオフテストが出来なかった我々は今回やっとスタートラインに立った感じですので今後の展開に期待してください！」
ドライバー：加藤寛規選手
「天候を見越してセッティングを変えていたので、ある程度のペースを保つことができました。でも自分としてはタイヤをいたわりながらの走りでしたので、探り探りだったことも事実です。本当であれば、もっとプッシュできたな…とも思います。
ただ今日の走りからタイヤの感触もかなりつかめたので、次は期待して下さい。今回のデータをもとにセッティングを作り上げ、よりよい結果が出せると思います」
ドライバー：高橋一穂選手
「自分のスティントは雨量が多くなってきて、インター（ミディエイトタイヤ）で走るのがキツかった…。そんな状況でもちろん自分も抜かれたけれど、抜くこともできたし…今回走行量が足りなかった割りには、なんとかマシンに慣れることができましたね。次はSUGOのテストをきちんとこなして、第2戦に備えたいと思います」
祝・高橋選手 SGT 100レース記念！
今回のレースで、高橋選手がSGT100レースを達成しました。ピットではチーム全員がサプライズでお祝い、緊張の高まる決勝レース前の空気が、一瞬和やかなムードに包まれました。
次戦は、5月3日の富士スピードウェイ、引続き応援よろしくお願いします。
2015.04.06