昨晩から激しく降り続いた雨は予報通り止み、路面こそウェットコンディションであるものの、曇天模様の中で日曜日のレース進行がスタートしました。 No.2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)は9:30から30分間で行われたウォームアップ走行に出走。まず車両確認のために加藤寛規選手がSGT EVORAに乗り込みました。その後は高橋一穂選手と交代し、こちらも問題無く最終確認をクリア。タイムもSGT EVORAが苦手とするツインリンクもてぎで、1分59秒302(7番手)を刻むなど上々の出来映え。あとは13:40分から53ラップ(GT500換算)で争われる決勝レースに備えるだけとなりました。
しかしグリッドウォークを終え、レース開始30分前という時点で、空からは大粒の雨が。幸い通り雨のような形となり、ローリングスタートが始まる頃には雨も上がりましたが、サポートレースで乾いたライン上は、再び雨に濡れてしまう形となりました。
No.2 シンティアム・アップル・ロータスのスタートドライバーを務めたのは、高橋一穂選手。西日と激しい水しぶきのコントラストが幻想的なシーンを作り出すなか、GT300クラスのトップ車両がコントロールラインを通過してレースがスタートしました。 難しいコースコンディションのなか序盤に早くも2台のマシンがリタイアを喫し、高橋選手は2周目に26番手へと浮上。しかしこの混乱のなか、高橋選手もオープニングラップでスピンを喫していました。ここで開いた差は約40秒と大きく、これを挽回する形でSGT EVORAのレースはスタートしました。
予選と同じくレインタイヤの発動に苦労する高橋選手でしたが、6周目を過ぎるころにはペースが上がりだし、ラップタイムは2分4秒台に突入。そこらか2分フラット、遂には1分59秒791までタイムを伸ばし、上位陣と変わらないタイムで走りが安定。この状況を見て、チームは高橋選手に走り続けることをオーダーしました。 しかし多くのチームは、乾いてきた路面に対して早めのピットインを選択。そしてこれが、今回レースの流れを変えるふたつめの要素となりました。 原因はセーフティーカーの導入でした。24周目には12番手まで登り詰めた高橋選手でしたが、25周目に入ると2コーナーからのストレートでGT500とGT300のマシンが交錯。これによってパーツが路面に散らばり、これを回収する必要が生じたのです。 既にピットインを済ませていたチームはこれでロスタイムを大幅に短縮することができました。しかしNo.2 シンティアム・アップル・ロータスはピットレーンがオープンするまでドライバー交代をすることができなくなりました。
ピットレーンシグナルがブルーになるのを確認し、高橋選手はピットイン。加藤選手がこれを引き継ぎ、スリックタイヤを装着して戦線へと復帰しました。 そこからの追い上げは、これまでの鬱憤を吹き飛ばすかのような速さでした。20位でコースに戻ったSGT EVORAは、いきなり1分53秒626をマーク。その後も51秒台、50秒台とタイムを伸ばし続け、最終的には1分49秒753と、決して得意とはいえないこのコースで総合2番手のタイムを叩きだしたのです。 それでも蓄積されたロスタイムを補うことは叶わず、レースは13位のポジションで終えることとなりました。
これでCars Tokai Dream28とSGT EVORAの2015年のシーズンは幕を閉じました。 今年は厳しいシーズンとなりましたが、まったく新しいGTマシンであるマザーシャシーを走らせた一年としては、ポールポジションも2回獲得することができ、その速さを確認することができた貴重なシーズンとなりました。 来季はここに“レースでの強さ”を付け加え、シリーズチャンピオン争いに加われる年にしたいと思います。 応援ありがとうございました。
Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス
チーフエンジニア:渡邊信太郎
「オープニングラップのスピンが他車との接触じゃなかったのは幸いでしたが、ここで着いた差は、レースを闘うという意味では厳しいものでしたね。 ただ今あるタイヤ選択の中で、1スティントを確実に走りきるには、一番柔らかいコンパウンドを選べなかったんです。もっとマザーシャシー用のタイヤ開発が進めば、ここまで高橋選手が苦しむこともなかったと思います。 それでもレインタイヤのテストは望んでできるものではないですし、今回のレースは貴重でした。またツインリンクもてぎというコースでも、ドライではSGT EVORAの速さが通用することを確認することができましたし、今回完走したことで、来シーズンに向けて沢山のデータを採ることができました。 今年一年、ありがとうございました!」
ドライバー:加藤寛規選手
「スタートはとても難しいコンディションでしたよ。まだきちんと検証を済ませていないので正確なことは言えませんが、その状況のなかではレインタイヤの選択を、ちょっと外した感がありますね。高橋選手も大変だったと思います。 逆に僕のスティントでは非常にタイヤのパフォーマンスが高かったので、ドライに関しては我々の選択がうまく行きました。 昨日の予選からもそうですが、雨でのパフォーマンスはもっと改善しなければいけません。横浜タイヤと一緒に開発して、来年はもっと弱点のないクルマにSGT EVORAを仕上げたいと思います。ありがとうございました!」
ドライバー:高橋一穂選手
「状況的には昨日の予選と同じで、リアタイヤがグリップする感触がなくて…。でもスピンをしたのは、ダメですね! 後半タイヤが暖まり出してからは、思い通りの走りができました。ペース的にはスピンがなければポイント圏内に入れたかもしれないですが、“タラレバ”もダメ。全ては(自分が)、予選を決められなかったせいです。厳しい世界ですね。今シーズン、応援ありがとうございました」
2015.11.16