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スーパーGT第4戦富士GT300kmレース決勝レポート

2015/08/09

今季の折り返しとなる第4戦「FUJI GT300km RACE」は15:00ちょうどにスタートを切りました。No.2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT-EVORA)のスタートドライバーは加藤寛規選手が担当。13番グリッドからスタートしたSGT-EVORAは、長い直線でパワーに物を言わせるFIA-GT3マシンたちに先を許しながらも、混乱が落ち着くまではじっと我慢を貫きました。 そして5周以降になると、SGT- EVORAは徐々に速さを発揮。15位にまで後退したポジションを10周目には取り戻し、20周目には9位までポジションを上げることに成功しました。そして26周目には1分40秒615と、トップを走るNo.55 HONDA CR-Z GTに匹敵するタイムを叩きだしていたのです。

SGT-EVORAと加藤選手の快走は、中盤以降も続きました。既に多くのマシンがタイヤの消耗を理由にピットインするなかで、36周目に至ってもSGT-EVORAのタイムにはまったく衰えが見られなかったのです。 これはSGT-EVORAの空力性能が非常に高いことを証明していました。今回からフロントバンパーに着けられた「フリックボックス」(空気抵抗を削減するエアロパーツ)をはじめ、ムーンクラフトの風洞テストで開発されたロードラッグ仕様のシャシーバランスが、タイヤを最後まで持たせたのです。もちろんチームのタイヤ選択も功を奏したと言えます。 こうして加藤選手はとうとう35周目にトップに立ちます。当然これは暫定のポジションでしたが、大切なのは高橋選手にバトンを渡すまで、可能な限りポジションを上げることでした。そして加藤選手はその後も規定周回数ぎりぎりの43周まで第1スティントをひっぱり、高橋選手を7位でコースに復帰させることに成功したのでした。

こうなると期待されるのはポイント獲得。しかし今回のレースウィークで圧倒的に走行距離が足りなかった高橋選手は、そのタイムをなかなか軌道に乗せることができませんでした。それでも迫り来るライバルには一気に差を埋めさせず、コースがクリアになった状況では1分42秒前半までタイムアップ。その差が1秒を切った状況でも慌てることなく走り続け、チームもこれに「追いつかれてもそう簡単には抜かれはしない」という感触を得ていました。 しかし53周目のストレートで、まかさのトラブルがSGT-EVORAに襲いかかりました。ストレートでほぼ最高速度に達したとき、リアタイヤがバースト(破裂)してしまったのです。原因は定かではありませんが、コース上にまき散らされた他車のパーツの破片がタイヤに刺さったのだと推測されました。 これによってマシンはリタイアとなりました。レースに“もし”はないと言われていますが、もしそのまま走り続ければポイントは獲得できたでしょう。そこまであと僅かに8周。それは非常に惜しい結末でした。 しかし次戦はSGT-EVORAが得意とする鈴鹿ラウンド。初めてのポイント獲得に向けて、チームの士気は着実に高まっています。

Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス

チーフエンジニア:渡邊信太郎

「レースではガソリンをフル搭載してスタートするので、どうしてもエンジンのトルク特性に優れるマシンには差を付けられてしまいます。ですから序盤は加藤選手も苦労していましたが、コース状況が落ち着いてからは速さを発揮することができました。舞台が富士ということを考えると、今回の速さは想定以上のものでしたね。 ただ前を塞がれてしまうといくらコーナーが速くてもそれを活かせないので、予選で上位スタートをすることが、今の我々にとっては一番の課題です」

ドライバー:加藤寛規選手 

「序盤の混乱は無理に抵抗してもタイヤを消耗するだけなので、我慢の走り。コースがクリアになってきてからは、一台ずつ仕留めて行く、という感じでした。とはいえこちらのタイヤが消耗してくると、GT3勢もその速さに(目が)慣れてくるので、こちらのラインを潰されてしまいます。かなりタフなレースでも最後まで闘い抜けたのは、ギリギリまで粘ってセッティングを出したおかげだと思います。またSGT EVORAのポテンシャルがそれに答えるものだった、ということが言えると思います」


 ドライバー:高橋一穂選手


「朝のフリー走行では自分がメインで走らせてもらえましたし、決勝でも段々とマシンに慣れることができましたが、正直まだまだですね。ただ最後に追いつかれたときも、簡単に抜かせないように走れると思っていました。ポイント獲得が目の前だっただけに、今回のトラブルは本当に残念です。この悔しさを次のレースに活かしたいです」

 

 

2015.08.09