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スーパーGT第4戦 富士GT300kmレース予選レポート

2015/08/08

 



スーパーGT第4戦は、今年2回目となる富士スピードウェイでの開催となりました。7月25/26日の2日間で行われたスポーツランドSUGOでの公式テストで、No.2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)は両日ともにGT300クラスのトップタイムをマーク。その好調さを維持して、ストレートスピードが大きく影響する富士でどこまで速さを発揮できるかに、誰もが大きく注目していました。

しかし8:50分から始まった公式練習走行では、思わぬマイナートラブルがマシンを襲いました。スタートドライバーは加藤寛規選手が担当。序盤で早々に1分39秒574という、FIA-GT3勢にも匹敵するタイムを記録したSGT EVORAでしたが、チェック走行を終え一度ピットに戻った時点で、再びエンジンを始動させることができなかったのです。

原因はスターターシステムでした。ただこれまでのようなシステムそのものの複雑なトラブルではなく、部品の一部分が破損しただけと判明したため、これを新品に交換すれば問題なく走行できると確認。チームは迅速に作業に取りかかり、予選出走までにこれを復旧しました。ただ、このトラブルによってSGT EVORAは合計でも8周しか周回することができず、予定していたメニューを消化することはできませんでした。またSUGOでの好調な走りから今回は高橋選手が予選1回目を担当するプランもありましたが、まったく周回することができなかったために、大事を取って加藤選手がQ1を担当することになりました。

予選第1回目(Q1)
14:15から定刻通り1回目の予選が行われました。スタートドライバーを務めた加藤選手は間合いを計るかのように3分経過時点でコースイン。クリアラップを探しつつ、タイヤに熱を入れて行きました。
しかしコース上では一台のマシンが100R途中のエスケープゾーンでストップ。予選は赤旗中断となりました。
セッションは既に残り10分を切っていましたが、GTアソシエーションは残り時間を10分に設定。予選は14:28から再開されました。
ここで加藤選手は落ち着いてタイミングを計ります。トップタイムは1分38秒311を記録した、同じマザーシャシーであるNo.25 TOYOTA86 MC。そして残り30秒を切ったとき、SGT EVORAがこれを上回る1分38秒278でトップに立ちました。その後は息つく間もなくNo.55 HONDA CR-Z GTが1分37秒797でその座を奪還しましたが、Q1突破を確実とみた加藤選手はタイヤを温存するべく走行を終了。実質たったの計測2周で、苦手と目された富士スピードウェイでその速さを存分に見せつけたのでした。

予選2回目(Q2)
予選2回目は12分間という短いアタック。今回予選が初めての走行となる高橋選手は、Q1を担当した加藤選手とは対称的に、真っ先にコースインしました。計測周回に入るとタイヤが暖まるのが早いFIA-GT勢は早々に1分38秒台へ突入。トップは1分38秒020と、37秒台に届く勢いでした。
しかし、No.2 SGT EVORAは第3セクターのプリウスコーナーで痛恨のスピンを喫してしまいます。マシンもそのまましばらく動かずその場の空気はにわかに張り詰めましたが、その後高橋選手は再スタートに成功。残り時間が4分を切ったなか、残り2周のアタックに入りました。
予選はここからJAF GTマシンであるNo.55 HONDA CR-Z GTが37秒台へと突入し、最終的には1分37秒776でポールポジションを獲得。SGT EVORAを駆る高橋選手も着実にタイムアップを果たし1分39秒744を記録しましたが、残念ながら13位という結果に終わりました。

Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス

チーフエンジニア:渡邊信太郎
「加藤選手の予選結果は、事前に想定できるものでした。我々としては高橋選手の走行時間を稼ぎたかったので、公式練習でのトラブルは確かに残念でしたね。それでも“持ち込みセット”の状態で速かったのは非常に良いことです。今回SGT EVORAは空力面でも大きく進化したのですが、事前にシミュレーションした内容とほぼ同じ結果を予選でも得ることができて、我々も自分たちの開発に改めて自信を持つことができました。
レースは単独で走るわけではないので予選のようには行かないと思いますが、まずぶつけずに、そして飛び出さずに、これを走りきることを徹底したいと思います」

ドライバー:加藤寛規選手
「公式練習走行で本命のタイヤを履くことすらできなかったので、予選に向けてのセットアップはまったくできていない状態でした。それでも2番手のタイムがさっと出せたのは、これまでの作り込みの成果なんだと思います。とはいえいくらタイムが出ても、決勝レースはまた別です。明日は長丁場を見越したセットアップを、フリー走行中に確認して決勝に臨みたいと思います」

ドライバー:高橋一穂選手
「なんとも言えない予選でした…。今回はマシンも大きく変わったので、データを取りながら走らせ方を分析したかったのですが、走行時間があまりに取れませんでした。SUGOから走り込んできて、自分でも速くなってきている実感があっただけに残念です。決勝はがんばります」

 

2015.08.08