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スーパーGT 第5戦 鈴鹿1000km決勝レースレポート

2015/08/31


夜半に激しく降り注いだ雨は、決勝レースが始まる12:30には弱まったものの、ワイパーを動かさない程度の小雨は降り続け、全車ウェットタイヤを装着する状態で1000kmのレースはスタートしました。 第一ドライバーを務めたのはエースである加藤選手でした。No.2 シンティアム・アップル・ロータスは加速に勝るFIA-GT3マシンのスタートダッシュを見事に抑えきり、ホールショットを獲得して1コーナーを駆け抜けました。 今回その足下には、横浜ゴムの新しいレインタイヤが装着されていました。そしてこれを履いたSGT EVORAは、序盤から快調にペースを上げて後続を引き離しに掛かります。天候は不安定で、途中雨量が急に増す状況も見られましたが、加藤選手は34周目まで一度もトップの座を明け渡すことなく、2番手の濱口選手にバトンを渡しました。
トップでコースに復帰したSGT EVORAと濱口選手は、序盤こそタイヤのウォームアップを必要としたことからポジションを下げましたが、そこからはきっちりとタイムを上げ、53周目には2位へと浮上。56周目には再びトップへと返り咲きました。

そして迎えた57周目、レースは大きく動きました。一台のマシンがクラッシュを喫し、コース上にはパーツの破片が散らばります。このとき空からは晴れ間が覗き、コースもレコードライン上は完全にドライ路面となっていました。 この状況をいちはやく察したチームは、SGT EVORAをピットへと呼び戻しました。ドライ路面を走ったことで傷んだレインタイヤから、ドライ路面に適したスリックタイヤへの交換を狙ったのです。しかしこのときタッチの差で、オフィシャルからはセーフティカー導入のボードが出されていたのでした。 スーパーGTではセーフティカー導入決定後のピットインは禁止されています。これによってSGT EVORAは90秒のピットストップペナルティを課されました。 これによって順位は大きく下がりましたが、67周目には再び他車のトラブルでペースカー先導に。順位は10位まで落ちたものの、トップと同一周回でレースに復帰することができたのは不幸中の幸いでした。

そこから巻き返しを始めた加藤選手はコンスタントに2分4秒台を刻み、93周目には2分2秒833までタイムアップ。96周目に高橋選手へ交代するときには、2番手まで順位を取り戻していました。 ここから8番手でコースに復帰した高橋選手も、走りはじめこそ苦戦を強いられましたが2分4秒台までタイムを上げてポジションをキープ。124周目には再び加藤選手へ交代しました。

しかしここで、今度はSGT EVORAを予期せぬトラブルが襲いました。右コーナーに差し掛かったときだけ、エンジンが息継ぎを始めたのです。しかしスリックタイヤを履いた加藤選手は、この症状に悩まされつつも2分2秒台を連発して9位に浮上。そして129周目には、2分1秒935のファーステストラップを記録し、7位と8位のマシンの後ろに付けました。そしてレースもいよいよ大詰めとなった143周目には8位、145周目にはライバルの脱落にも助けられて7位へ浮上します。

しかし度重なるセーフティカーの導入や、雨によるラップタイムの低下からレースは予定された173周を待たずして規定時間の6時25分に到達。最後まで諦めず走った加藤選手でしたが、6位のマシンと0.6秒差まで迫ったところでレースは終わりを告げました。 No.2 シンティアム・アップル・ロータスは150周を走りきりチェッカー。ペナルティは悔やまれましたが、今季初めての得点(5ポイント)を獲得することができました。

Cars Tokai Dream28 シンティアム・アップル・ロータス

チーフエンジニア:渡邊信太郎

「クラッシュが起きた時点でマシンはセクター3を通過していたので、ギリギリの曲面だったのですが、うまく行けばセーフティカー導入前にピットインできる可能性がありました。トップで加藤選手を送り出せたら大きなアドバンテージを稼ぐことができたはずなのですが……。 またレース途中にはGT500マシンに接触されたり、エンジンが吹けなくなったりとトラブルもありました。次のSUGOは完璧を期してレースに臨みたいと思います」

 

ドライバー:加藤寛規選手
「最後のスティントは途中でエンジンばバラつき始めてしまい、肝心なところで“もうひと伸び”がない状態でした。そこでGT500マシンが来たりすると、せっかく前のクルマを追い詰めても再び差が開いてしまって……タイミングがうま
く合わない限り抜くのは難しいな…と思っていました。そうしたら31号車だけチャンスが来て抜けはしたのですが…。 レース全体としては、少し残念な内容になってしまいました」

 

ドライバー:濱口 弘選手
「練習、予選、そしてレースと、自分のときはマシンの状態も素晴らしく、とてもいいレースができました。ペナルティの件さえなければ、最高の一日になったのですが、残念です。判断ひとつでこうなってしまうから、レースって難しいですよね」

ドライバー:高橋一穂選手
「マシンはとても乗りやすかったです。自分としては、アウトラップからすぐにペースを作れるようにしないといけないね……。次のレースでは、満タン状態で、タイヤに熱が入ってない状態でも、『もうちょっと行ける』という感触を素早くつかめるようにしたいと思います」

2015.08.30