Lotus logo

F1 アブダビGP レースレポート - Part2

2012/11/06

“Leave Me Alone! I Know What I’m Doing!”

キミ・ライコネンが19回目のグランプリ優勝を飾った。日没をまたいでおこなわれたアブダビ・グランプリでの輝かしい勝利は、エンストンチームにとっては48回目の勝利となった。キミは4番グリッドから好スタートを切って2位につけ、マクラーレンのルイス・ハミルトンがリタイヤすると、その状況をうまく利用した。一方ロメイン・グロージャンは、セルジオ・ペレスに非があるとされる事故に巻き込まれてフィニッシュできなかった。
キミはドライバーズチャンピオンシップ3位のポジションを198ポイントで守り、2位のフェルナンド・アロンソと47ポイント差、4位のマーク・ウェバーと31ポイント差となった。コンストラクターズ・チャンピオンシップでは、キミの属するチームは第4位288ポイントとなり、マクラーレンとの差を30ポイントに縮め、メルセデスを152ポイント引き離した。
キミはソフトタイヤでスタートし、31周目でミディアムコンパウンドタイヤに取り替えた。
ロメはソフトタイヤでスタート、1周目でミディアムタイヤに替えた後、セーフティ・カー走行中の9周目にスクラブ済みのソフトタイヤに履き替えた。

 

 
 

 

キミ・ライコネン(P1)

「チームに貢献できたこと、また自分自身が勝てたことを嬉しく思う。レース中は何が起こるか一切わからないからね。セーフティ・カーのせいでずいぶん難しい走行を強いられたが、似たようなレースは今年に入って何回となく経験してるから。今日のサーキットは明快で、私たちのスピードを生かすことができた。レースの終盤、私たちのチームは最速ではなかったかもしれないが、それでも勝つために十分なスピードと一貫性を維持することができた。だから、今回はチームにとっても素晴らしい経験だった。今シーズン後半は苦戦するレースもあったので、復帰を勝利で飾ることができて本当によかったよ。」

ロメイン・グロジャン(DNF)
「キミの優勝は本当に嬉しい。待ち望んでいた勝利だし、チーム全体にとっても信じられないような快挙だ。自分自身については、かなり良い感じで走行していたので結果にがっかりしてる。11コーナーで3台1列になって接戦したが、その後13コーナーでセルジオ(ペレス)がコースを外れ、14コーナーでイン側に戻ってきたので、自分が逃げるスペースがどこにも無い状態になった。そこにマーク(ウェバー)が後ろから接近し、接触してしまった。何とも悔しい。チームにとっては最高の日でしたが、自分には運がなかったよ。」

エリック・ブイユ(チーム代表)
「なによりもまず、『素晴らしい』の一言に付きます。後に続く感慨の言葉としては、『安堵』、『当然』など色々です。当然というのは、チームにとっては明白に当然の結果だったからです。キミの勝利を嬉しく思いますし、良く頑張ったと思います。シーズンを通じて私たちチームは自らを厳しく追い込み続けていましたから、以前に勝利を目前にした瞬間もありました。もっと早く勝利を手にできなかったのかという苛立ちも多少はありますし、まだかまだかと待ち望んでいたわけですが、実際にやっと勝利を手にしてみた今の気分は最高です。チームの努力も報われるすばらしい勝利です。F1にとっても、キミにとっても、チームにとっても最高の体験です。」

ジェイムズ・アリソン(テクニカルディレクター)
「こんなに嬉しいときは、かえって決まりきった言葉しか出てこないものです。じれったい程勝利が近かったレースが今年何度もあったにもかかわらず、表彰台の頂点に立てるまでには本当に長いことかかりました。この勝利は、完璧な走りを見せたキミ、そして今年を通じて片時も勝利から目を離さなかったエンストンチームの執念に捧げられた最高の賛辞です。今シーズン残されたレースは2回ですが、次なるオースティンへは意気揚々と向かい、この勝利を再現してどこまでいけるか見ていたい、という気持ちで一杯です。」

リカルド・ペンテアード(ルノー・スポールF1チーム、サポートリーダー)
「レースにやっと勝てたという感慨で一杯です。エンストン-ヴィリーの連携による現在の体制となって初めての勝利ですから。今シーズンを通してずっと、このシャーシとエンジンの組み合わせは強さを発揮していましたし、車のパフォーマンスを仕上げる新部品をうまくとりつけるためにチーム全員が見せたここ数週間の頑張りは大変なものでした。今日は全てがうまく運びました。全ての要素を完璧に判断したキミに脱帽です。」

元F1ドライバー、デビッド・クルサードは、レース後の表彰台にてキミ・ライコネンにインタビューをおこなった。

ロメイン・グロジャンはチームメートであるキミ・ライコネンの勝利を喜ぶ一方、自分自身がフィニッシュを迎えることができなかったことに落胆を示した。



キミ・ライコネンはレース後、インタビューに答えました。

- 19勝目をどのように受け止めていますか?
「チームのために、そして自分のためにも嬉しく思うが、何よりもここのクルー全員、そしてエンストンの皆のために嬉しく思う。大変なシーズンだったので、勝利はここにいる皆が受けて当然の結果だし、私たちが待ち望んでいたものだった。また、私やチームを応援し続けてくれたファンにも良いプレゼントができて嬉しい。最近の数回のレースは、決して簡単なものではなかった。この勝利によって、レーストラックやファクトリーで働くクルーだけでなく、さらにその背後でチームを動かしている皆がチームへの信頼感を強めることができれば嬉しいと思う。これを機に、風向きが変わってより良いレース展開ができ、勝利が手に入ることを祈る。今年が無理なら、来年でも。」

- 今回の勝利は過去18回の優勝と比べてどんな点が違いますか?
「正直なところ、過去の実績につらなる勝利の一つという程度の感慨だ。ここ数年で久しぶりなのでもちろん嬉しいが、以前の勝利も今回のケースととても良く似ていて、決してベストではないマシンで戦い、それでも勝利を手にした。でも今回勝利したことで、私が果たして勝てるのかどうかを皆が聞いてくることはなくなるだろうし、その問いの答えが少しでもはっきりしたことは嬉しいね!」

- 「いつになれば勝てるのか?」という問いに答えることができて良かったですか?
「人の言うことをいちいち本気で気にしたりはしない。次のレースでフィニッシュを迎えることができなければ、皆私の腕もそのレースの結果程度だと思う。私は自分がやるべきことをやるだけ。もし自分がやっていることに納得がいき、チームのためにもなるのであれば最高だけど、それだけ。だから、皆が私のことを今違った目で見るようになったとしても、皆がレース開始3時間前に考えていたことと同様に気にしない。」

- チェッカーフラッグをどんな気持ちで受け取りましたか?
「嬉しかったけど、飛び上がるほどの感慨はなかった。まだ数レース残っているし、今回と同じように頑張りたいと思ってる。もちろん今夜はパーティを存分楽しみたいし、できれば明日も祝いたい気分だ。長い夜を過ごしたあとで後味の悪い朝を迎えたら、その後味の悪さを覚えているから。今はとにかくチーム皆のために嬉しく思うよ。」

- スタートはどうでしたか?
「自分たちより速い車の後ろにつけること、遅い車の後ろにはつけないこと、それが鍵だった。グリッドのポジションがよかったので、良いスタートを切ることができた。以前にも素晴らしいスタートを切ることができたレースはあったので、それに比べれば今日のスタートは、自分的にはあくまで通常のレベルだ。2速ギアに切り替える前に、マーク(ウェバー)とパストール(マルドナド)を抜くことができた。ウォームアップのときにとても良いスタート練習ができていたので、うまくいくと確信が持てた。」

- 今回の優勝のお祝いはどのくらい続きそうですか?
「ほぼ2週間時間の余裕があるから。次のレースに向けた自己管理さえできていれば、チームは何も気にしないと思う。多分、どこかのタイミングで自宅に帰るよ。」

2012.11.06