2021/05/06
GT300クラスでmuta RACING LOTUS EVORA MCを走らせるインギングモータースポーツは、今回レギュラードライバーである加藤寛規/阪口良平選手に加え、小高一斗選手を第3ドライバーに起用。シリーズ最長となる500kmのレースに、チーム一丸となって臨みました。
■公式練習走行
月曜日の9:45から始まった公式練習走行では、まず加藤選手がmuta RACING LOTUS EVORA MC(以下 SGT EVORA)のステアリングを握りました。ここで加藤選手はマシンの状態を確認しながら、6周目に1分37秒929をマークします。そして8周目には1分37秒459までタイムを縮めて、いったんマシンをピットへ。その後も順調にメニューを消化しながら周回を重ね、15周を走り切って阪口選手に交代しました。そして交代した阪口選手も計測2周目から37秒台のタイムを刻み、20周目には1分37秒456のチームベストをマークして、レースペースの良さを印象付けました。さらにその後も1分37秒前半をコンスタントにマークし、SGT EVORAの順位は8番手となりました。28周目からは、小高選手がコースインしました。小高選手は富士公式テスト以来のドライブながら、いち早くSGT EVORAに順応。計測周から1分38秒219のタイムをマークしました。さらに予選のセッティングをも担当し、39周目には1分36秒秒台へ突入。翌周には1分36秒763へとタイムを更新し、SGT EVORAの順位を4番手にまで押し上げました。
■公式予選1回目
14:30から開催された第一回目の公式予選(Q1)は、29台のマシンがA/Bふたつのグループに別れて出走。SGT EVORAはAグループから出走し、加藤寛規選手がそのドライバーを務めました。ライバルたちが早々にタイムを出しに掛かる中、加藤選手はハード目のタイヤを、4周かけてじっくりとウォームアップ。そして翌周から、いよいよアタックラップに入りました。
そして加藤選手は1分36秒104のタイムを刻み、2番手に躍り出ます。さらにライバルたちのタイムアップをも想定し、アタックを継続。セクター1、セクター2とベストを更新し、遂に35秒台に突入か!? と思われました。ただしこのアタックは、惜しくもセクター3でハーフスピンを喫したことで、失敗に終わりました。しかしその後も順位は変わらず、SGT EVORAは2番手で予選Q1を無事に通過しました。トップを獲ったのは1分35秒963のタイムを出した♯61 SUBARU BRZ GT300(井口卓人選手)でした。SGT EVORAとのタイム差は、わずかに0.141秒でした。
■公式予選2回目(Q2)
14:53から始まった予選Q2は、小高選手が担当しました。小高選手は3周目までにウォームアップを終えると、翌周からアタックを開始。まず1分36秒233のタイムを出して、2番手に躍り出ました。そして翌周も、1分36秒077をマークしてタイムを更新。しかしこのとき上位陣は35秒台に突入していました。これに呼応するかのように、小高選手も最後のアタックを試みました。そしてセクター2では全体ベストのタイムをマークしましたが、セクター3では逆にタイムをドロップ。最終的にSGT EVORAの順位は、5番手となりました。ポールポジションを獲得したのは、1分35秒343をマークした♯61 SUBARU BRZ GT300(山内英輝選手)でした。
■決勝レース
日曜日の決勝レースは、14:30から定刻通りにフォーメーションラップを開始。2周のウォームアップを終えて、110周のレースがスタートしました。5番グリッドからのスタートとなったSGT EVORAは、小高選手が第一スティントを担当。そしてチームはこの序盤において、ひとつの作戦を遂行しました。それは小高選手のスティントを、わずか5周で終えるというプランでした。性能調整によって昨年よりも40kg重たくなったSGT EVORAで、序盤の混戦をGT3勢と戦うのは、得策ではないという判断です。代わりに第一スティントを最短で終えることで、ピットインの義務回数を1回クリアし、なおかつクリアラップが狙える位置からレースに臨んで、レースラップの安定化が図る。それは500kmのレースだからこそ、成り立つ作戦でした。
今回一番長い最終スティントを受け持ったのは、今回ロングランテストで最も安定して速いタイムを刻んでいた阪口選手でした。しかしこのスティントでも、SGT EVORAは想定した速さを発揮することができませんでした。しかし最後まで粘り強く走り続けた阪口選手は、終盤になって徐々にその順位を回復。ゴールが目前に迫った98周目には、ポイント圏内あとひとつという所まで迫りました。そしてまさにあと2周という場面で、前を走る一台がトラブルから戦線を離脱。最終周となった101周目に、10番手に浮上してチェッカーを受けました。レースは♯60 TOYOTA GR Supra(吉本大樹/河野駿佑 組)が、今季初優勝を飾りました。今回は非常に苦しい戦いとなりましたが、チームはシリーズを戦う上で貴重なポイントを獲得することができました。
■チーフエンジニア 渡邊信太郎
「今回作戦としてはGT500クラスを全てやり過ごした上で、GT300クラスの集団の前に加藤選手を送り出すこともできたので、予定通りにプランを実行できたと思います。ただそこからレースラップにスピードがなく、上位陣には大きく引き離されてしまいました。どこかで一気にグリップが落ちたというわけではなく、ずっと低いアベレージのまま走るしかなかった状況です。原因としては、選択したタイヤが路面状況に合っていなかった、ということだと思います。ただ今回選んだタイヤの特性がわかったことは大きな前進なので、これを次戦に活かしたいと思います」
■ドライバー 加藤寛規選手
「決勝は自分のスティントも、阪口選手のスティントも、思ったよりもペースが上がりませんでした。予選の速さを考えると、ちょっとレースのラップタイムが遅すぎましたね……。それでもペースがないなかでポイントが取れたので、それは素直に嬉しいです。まだまだボクらもブリヂストンタイヤを理解する必要があると思っていますし、今回のレースはとても勉強になりました。色々と変えていった部分をひとつずつ精査して、次戦に臨みたいと思います」
■ドライバー 阪口良平選手
「トップにはかなり離されてしまいましたが、今回最後まできちんと走り切れたことは、とてもよかったと思っています。前が見えていると確かに可能性は感じられるのですが、前回のようにリタイアしてしまうとデータは蓄積できません。レースで一番大切なのは積み重ねです。今回得たデータを活かして、鈴鹿は表彰台に上がりたいと思います!」
■ドライバー 小高一斗選手
「公式練習走行ではマシンがオーバーステア気味だったので、これを修正する方向でセッティングを進めました。しかしQ2では路面温度が上がったせいもあり、少しアンダーステアが強くなってしまいました。今回は路面の状況が刻々と変わってしまい、持ち込んだタイヤが合わなかったことが残念でしたが、マシン自体はまとまってきています。そしてデータも多く残せたので、良かったと思います。自分もシリーズにはずっと帯同しているので、これからも応援よろしくお願いします!」