Lotus logo

SUPER GT 2021 公式テスト IN OKAYAMA INTERNATIONAL CIRCUIT レースレポート

2021/03/08


3月5日(土)から6日(日)の2日間にかけて、2021年度のスーパーGTを占う公式テストが、岡山国際サーキットで開催されました。今季SGT EVORAは、「muta RACING LOTUS EVORA MC」としてインギングモータースポーツからスーパーGTに臨みます。ドライバーラインナップは、加藤寛規選手と阪口良平選手が初めてのコンビを組みます。そして渡邊信太郎チーフエンジニアがエンジニアリングを継続し、ブリヂストンタイヤと共に、新しいシーズンに挑みます。


■DAY1 セッション1


2日間に渡り、計4回のセッションで開催される公式テスト。土曜日は10:00からの120分間を使って、セッション1がスタートしました。今季muta RACING LOTUS EVORA MC(以下SGT EVORA)は、初めてブリヂストンタイヤを装着します。よってチームにとって最大のテーマは、今回のテストでこのブリヂストンタイヤの特性をつかみながら、SGT EVORAのセッティングを導き出すことでした。しかし、それと同じくらい大きな課題となったのは、今季BoP(性能調整)の大幅な重量増加でした。現在スーパーGTは、参加車両に性能調整を施して、マルチメイクレースにおける条件の均一化を図っています。自動車メーカーが発売するFIA-GT3マシンはSRO(ステファンラテルオーガニゼーション)が定めるBoPに準じ、それ以外のGT300クラス車両とマザーシャシー車両は、GTA(GTアソシエーション)がこれを定めます。そして肝心なウェイトの搭載は、GT300マシンの50kg増に対し、マザーシャシーがさらに重たい状況となってしまいました。


具体的には、FRレイアウトを採るマシン(今季は♯5 TOYOTA86 MCのみ)が70kg増。そしてミドシップレイアウトを採るSGT EVORAには、80kgもの重量増が課されたのでした。また岡山国際サーキットの開幕戦では、特別BoPとして各車にさらなるウェイトの搭載が予定されており、今回のテストでは、これも試さねばならない状況となりました。GT500車両の速さが想定を超えたため燃料リストリクター径でスピードを落とす必要があり、従来の速度差を保つために、GT300車両もウェイトを搭載する必要性が出てきたのです。そして結果的にSGT EVORAは、昨年以上のウェイトを搭載して、公式テストに臨むこととなりました。


10:00からスタートした走行は、まず加藤選手が走行を担当しました。序盤トップが1分26秒台後半を刻むなか、加藤選手はじっくりとマシンの様子を確かめながらウォームアップ。そして20分に差し掛かる頃、1分27秒176のタイムでいきなり2番手に躍り出ました。しかしながらその後は各車もペースを上げ、順位は入れ替わって行きます。ちなみに昨年岡山で開催された公式テストのベストタイムは1分25秒649(♯21 Audi R8 LMS)で、そのときSGT EVORAは1分25秒977を刻み、3番手をマークしました。その後加藤選手はピットインを繰り返し、約1時間を掛けて様々なタイヤをテスト。合わせてエヴォーラのセットアップも進めて行きました。そして1分26秒968のタイムを出して3番手に浮上すると、阪口選手へ交代しました。


途中パイパーコーナーで♯21 Audi R8 LMSがコースアウトを喫したものの、無事に再スタート。また数台が同様にトラブルに見舞われながらも、赤旗中断になることなくセッション1は推移。富士のプライベートテストから数えてSGT EVORAのドライブが2回目となる阪口選手も順調にメニューをこなして、これを無事に走り終えました。セッション1でトップに立ったのは♯52 TOYOTA GT Supra(吉田広樹/川合孝汰 組)。タイムは1分26秒265でした。対してSGT EVORAは、ベストこそ更新しませんでしたが6番手につけました。

■DAY1 セッション2

14:00から開催されたセッション2は、セッション1同様加藤選手が最初に出走。予定されたメニューをこなすべく、精力的に周回を重ねました。コースでは10分を過ぎた頃、♯60 TOYOTA GR Supraがパイパーコーナーでストップ。これによってセッションは赤旗中断となりましたが、幸いマシンは無事で、再び走り出すことができました。午後からのセッションは午前中に比べて気温が10℃を下回る寒さとなり、SGT EVORAのタイムも28秒前半を推移。また上位陣のタイムも26秒台に留まりました。しかしその内容は1秒の中に9台がひしめく混戦状況であり、今シーズンも激しい戦いになることを予感させました。セッション2でもトップに立ったのは、1分26秒185を刻んだ♯52 TOYOTA GR Supraでした。かたやSGT EVORAは1分27秒259がベストとなり、12番手で走行を終了。DAY1の総合順位としては、11番手となりました。




■DAY2 セッション3


公式テスト2日目となる走行セッション3は、気温こそ10℃を下回る肌寒さながら、快晴の空の下で9:00から開催されました。この日最初にステアリングを握ったのは、阪口選手でした。コース上は走行15分過ぎにトラブルが発生し赤旗中断となるものの、その後は順調に推移。35分過ぎからはセーフティカー導入訓練が行われ、これもSGT EVORAは問題なくクリアしました。SGT EVORAは21周目に1分27秒841をマークして9番手に浮上しますが、その後はライバルたちもタイムを上げてきました。最終的にSGT EVORAは1分26秒670までタイムを更新し、総合8番手でセッション3を終了。トップに立ったのは、♯1分26秒138のタイムを刻んだ♯87 ランボルギーニ・ウラカンGT3(松浦孝亮/坂口夏月 組)でした。


■DAY2 セッション4


13:45分からのスタート練習を終えて、最後の走行となるセッション4が開催されました。SGT EVORAのステアリングを握ったのは、加藤選手。本番さながら隊列を維持したままコントロールラインを通り過ぎ、そのままテスト走行に入りました。そして3周目に1分29秒774のタイムをマークし、11番手に浮上。さらに翌周は1分28秒790までこれを更新し、8番手でタイムボードにSGT EVORAの名前を刻みました。その後加藤選手は40周目に1分27秒678へと僅かながらもタイムを更新。1度のピットインを行っただけで、なんと60周まで走りきりました。そして最後は阪口選手が、残りのメニューを確認するためにコースイン。そのまま無事に走り続け、2日間のメニューをトラブルなく消化。セッション4は10番手で走行を終えました。セッション4で首位に立ったのは、1分26秒934をマークした♯60 TOYOTA GR Supra(吉本広樹/河野駿佑 組)。DAY2の総合トップは♯87 ランボルギーニ・ウラカンGT3(松浦孝亮/坂口夏月 組)となり、SGT EVORAは総合8位となりました。


初めてブリヂストンタイヤを装着し、新たな一歩を踏み出したmuta LOTUS EVORA MC。まだまだ課題は多く残されていますが、確実に前進することができた公式テストとなりました。

■チーフエンジニア 渡邊信太郎


「土曜日(DAY1)は加藤選手が主体となってタイヤのパフォーマンスチェックを行い、今日(日曜日)はそれをもとに午前中に阪口選手が剛性の違うスペックを試して、午後にロングランチェックを行いました。土曜日に全てのメニューをきちんとこなせたことで、今日は順調に走らせることができましたね。SGT EVORAにとってブリヂストンタイヤは初めてなので基準そのものがまだないのですが、印象としては非常に良く曲がるタイヤだと感じました。ライバルたちは、やっぱりGT300勢(旧JAFーGT)が速いですね。マザーシャシーはエンジンパワーが劣るので、4速以上の加速で明らかに引き離されてしまう。今回のウェイト搭載も明確な根拠があれば納得できるのですが、レギュレーションとしてはもう少し考えて欲しいところですね」

■ドライバー 加藤寛規選手


「土曜日にタイヤのスペックを絞り込んで、今日はロングスティントを走ることでそのキャラクターを確かめました。段々とブリヂストンタイヤの感触を得てきたのですが、もっともっと走り込んで良さを引き出して行く必要がありますね。あと現状マシンが非常に重たいので、タイヤが消耗してしまうと、マザーシャシーは落ち幅がとても大きい。これが非常に厳しいです。それでも前進していることは確かなので、開幕に向けて頑張って行きたいと思います!」


■ドライバー 阪口良平選手


「富士でシェイクダウンテストを終えて、エヴォーラにはトラクションの高さを活かしてセッティングして行くイメージを持ちました。実際今回走らせてみても、(阪口選手が昨年乗っていた)86に比べてレースラップは良さそうです。ただ、まだ一発の速さという部分では86の方が尖った部分もあると感じました。それをどうエヴォーラに活かして行くかを考えて行きたいですね。チームとしても新しいメンバーとの交流がうまく行っていると思うので、それをさらに良くして行きたいですね」


開幕戦は4月10日(土)から、この岡山国際サーキットで開催します。チーム一丸となってシリーズを戦いますので、2021年シーズンも応援よろしくお願いします!