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SUPER GT 2021 公式テスト IN FUJI SPEEDWAY レースレポート

2021/03/29



 

3月27日(土)から28日(日)の2日間にかけて、今年2回目となるスーパーGT公式テストが、富士スピードウェイで開催されました。

そしてインギングモータースポーツは、今回レギュラードライバーである加藤寛規/阪口良平選手に加え、富士500KMレースを見据えて昨年同チームのドライバーを務めた小高一斗選手を起用。開幕直前の最終調整として、ブリヂストンタイヤと共にmuta RACING LOTUS EVORA MCを走らせました。

 

■DAY1 セッション1 コンディション:ドライ

土曜日の10:00から始まった公式テスト・セッション1は、まず加藤寛規選手がmuta RACING LOTUS EVORA MC(以下SGT EVORA)のステアリングを握りました。今年からブリヂストンタイヤを装着するSGT EVORAは、前回岡山のテストで見定めたタイヤを再確認をすると同時に、今回新たに用意したタイヤの選択もテストする必要があり、ピットには実に多くのタイヤが用意されていました。またシーズンで2回のレースが開催される富士スピードウェイで結果を出すべく、空力パーツのテストも精力的に行われました。なぜなら今季のスーパーGTでは、マザーシャシー最大の特徴であり武器である空力パーツに対して、使用制限がルール化されたからです。具体的にはフロントのカナードが2種類、リアウイングが1種類となりました。ただしリアウイングに関してはレース1ヶ月前までに申請を行うことを条件に、シーズン中1セットの追加が許されるため、今回これを確認する必要があったのです。こうしてSGT EVORAは、そのボディワークを富士仕様ベースとしながら、2種類のウイング(ハイ/ローダウンフォース仕様)を試しました。

 



 

ドライコンディションとなったセッション1は、こうした要素を交えながら、慌ただしく始まりました。そんな中最初にSGT EVORAをドライブした加藤選手は、5周目に1分39秒023のタイムをマークして、まず11番手に躍り出ます。そして数々のメニューをこなしながら1分37秒720(13番手)までタイムを上げ、阪口選手に交代しました。これを受けた阪口選手も28周目に1分37秒530、36周目には1分37秒283までタイムを伸ばし、11番手までSGT EVORAの順位を押し上げました。しかしトップを走るマシンとは依然1秒以上の開きがあり、特に立ち上がりから中間加速にかけて、速さの違いを見せつけられていました。ちなみに阪口選手がマークしたタイムは、昨年この公式テストで♯61 SUBARU BRZ GT300の1分37秒379)をも、上回っていました。しかしそれ以上に、ライバルたちのタイムアップが、著しい状況となっていたのです。そこには様々な要因が考えられるものの、SGT EVORAにとって最も大きな足かせとなっていたのは、マザーシャシーに課せられた重量増でした。今季は通常サーキットで+80kgものハンディウェイト搭載が義務づけられており、高速サーキットとなる富士ではこれが20kg減算されるものの、昨年の富士仕様よりも重たい状況となっていたのです。エンジントルクが全車中一番少なく(TOYOTA86 MCも同様)、ウェイト感度が高いマザーシャシーにとって、それは非常に厳しい規則でした。

 



しかしここからチームはトップグループに詰め寄るべく、何度もダウンフォース量を調整しながら対策を続けました。そして42周目、阪口選手は1分37秒004のタイムを出して、トップから約0.5秒差で6番手に躍り出たのでした。その後は加藤選手が残りのメニューを確認しながら、59周まで完走。セッション1をトラブルなく走り終えました。セッション1でトップに立ったのは、1分36秒476のタイムをマークした♯56 日産GT-R GT3(J.P.デ・オリベデイラ/藤波清斗 組)でした。♯2 muta RACING LOTUS EVORA MCの最終的な順位は、7番手となりました。

 



 

■DAY1 セッション2 コンディション:ドライ

14:00からスタートしたセッション2は、阪口選手が最初にSGT EVORAをドライブ。序盤から1分38秒244をマークして、順調なスタートを切りました。さらに9周目には1分37秒793をマークして13番手に。そこから走るごとにタイムを縮め続け、16周目には1分37秒237で5番手に躍り出ました。その後は加藤選手が担当し、途中赤旗による中断を挟みながらも、予定されたメニューを次々と消化。そして20分余りを残したところで、第2戦 富士ラウンドに参戦予定の小高一斗選手が、初めてSGT EVORAをドライブしました。このセッションでトップに立ったのは、♯244 TOYOTA GR スープラ(三宅淳詞/堤 優威 組)。そのタイムは1分36秒931と、実質上のシェイクダウンとは思えない速さでした。対して♯2 muta RACING LOTUS EVORA MCの順位は、最終的に10番手となりました。それは実にトップ10までが0.306秒のなかにひしめく大接戦でした。

 



 

■DAYー2 セッション3

予報通りの雨模様となった2日目、セッション3は9:00から定刻通り走行がスタートしました。ここでステアリングを握ったのは、初めてブリヂストンのウェットタイヤを履く加藤選手でした。ホームストレートではマシンが巻き上げる水しぶきこそ見えるものの、各車ワイパーは動かさない程度の雨量。ここでSGT EVORAはいち早くコースイン。加藤選手はその感触を確かめるように走行を重ねながらも、序盤から1分51秒451、1分51用050というタイムをマークして、4番手に躍り出ました。その後もSGT EVORAは1分47秒225と順調にタイムを伸ばしましたが、ライバルたちも調子を上げてその順位は7番手に。そして10:00を回った頃、セーフティカー導入の訓練が入り、その後SGT EVORAはいったんピットへと戻りました。

 



 

そしてこの頃から予報に反して雨が止み、路面は完全なドライコンディションとなりました。この状況でチームは本来消化すべきだったメニューへと素早くシフトし、SGT EVORAにスリックタイヤを装着。これを受けた加藤選手は、1分38秒569をマークしてまず3番手に順位を上げ、その後も1分38秒009までタイムを伸ばしました。そして最後は阪口選手が確認走行を行い、セッション3も無事に終了しました。このセッショントップに立ったのは♯52 TOYOTA GR スープラ(吉田広樹/川合孝汰 組)で、そのタイムは1分37秒266でした。♯2 muta RACING LOTUS EVORA MCの順位は9番手となりました。

 



 

■DAY-3 セッション4

2日間の最後を締め括るセッション4は、14:00から1時間の走行で行われました。路面状況は引き続き、ドライコンディション。チームはロングランのデータを取るべく、阪口選手とSGT EVORAをコースへと送り出しました。しかし走行開始早々に♯360 日産GT-R GT3が300Rでクラッシュを喫し、走行は赤旗中断に。360号車は幸い自走でマシンをピットへと戻し、その後まもなく走行も再開しました。ここから阪口選手は素早くペースを上げ手行き、8周目には1分37秒858、翌周には1分38秒211を刻んで7番手に浮上。そしてその後もロングラン用の走行ながら1分38秒076までタイムアップを果たし、これが今セッションのベストタイムとなりました。そして16周を走り切ると、SGT EVORAをピットイン。その後は小高選手が引き継ぎ、26周まで走りきりました。

 



 

小高選手はユーズドタイヤながら1分38秒150をマークし、その後も38秒前半でコンスタントに周回を重ねて速さを見せました。セッション4でトップタイムをマークしたのは、初日のセッション1でもトップを奪った♯56 日産GT-R GT3(J.P.デ・オリベデイラ/藤波清斗 組)。そのタイムは1分37秒128でした。♯2 muta RACING LOTUS EVORA MCは、16番手となりました。2日間の総合タイムでトップに立ったのは、2回のセッションを制した♯56 日産GT-R GT3(J.P.デ・オリベデイラ/藤波清斗 組)。♯2 muta RACING LOTUS EVORA MCの順位は、8番手となりました。こうして2日間に渡る公式テストを、チームは無事に終了することができました。

 

■チーフエンジニア 渡邊信太郎
「今回は予想に反して2日目に雨が降らなかったことで、レインタイヤの確認こそ十分にはできませんでしたが、ドライコンディションを多く走れたことで、非常に多くの有効なデータを取ることができました。タイヤの選定も進みましたし、マシンのセットや、アドヴィックスと開発しているABSのテストもかなり進みました。あと今回は小高選手が初めてエヴォーラを走らせたわけですが、短い時間の中でもきちんと仕事をこなしていましたし、2回目の走行はとても速かったですね! これは第2戦に向けて、非常に明るい材料になると思います」

 

■ドライバー 加藤寛規選手
「2日間のテストを通して、だいぶ合わせ込みができました。これならば戦えるかな、という所にまでは来たと思います。ただマシン的には満足できるレベルなのに上位に行けないのは……。他が爪を隠しているのに上に行けないのは、やっぱり重さが効いてますね。とはいえ常にどうしたら前に出られるのか? と考え続けて、開幕戦では良い結果を得たいと思います」

 

■ドライバー 阪口良平選手
「一日目は自分が主にタイヤテストを行って、2日目はロングランをこなしました。予定していたメニューもほぼこなせて、岡山のときよりも、随分セットアップが改善されました。ただGT3勢と一緒に走ると、どうしてもタイムが落ちてしまうので、もう一発速さを引き出して、予選では前に行きたいです。レースアベレージは非常に良いので、そこを課題にしたいですね」

 

■ドライバー 小高一斗選手
「一日目は初めて乗るロータスに、とても戸惑いました。86とはあまりにフィーリングが違って、とても同じ同じマザーシャシーとは思えませんでした。でも2日目は、短い周回数でしたがこれに慣れることができて、自分としてはホッとしました。クルマ的には方向性も分かってきましたし、もう少しセッティングでタイヤの良さを引き出して、レースでは楽に、速く走れるようにしたいです。自分は500kmレースで長く乗ることになると思うので(笑)、しっかりがんばりたいと思います!」

 



 

そして4月7日にはいよいよ、2021年シーズのスーパGTが岡山国際サーキットで開幕します。SGT EVORAとチームは一丸となってこの闘いに臨みますので、応援よろしくお願い致します!