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SUPER GT 2020 第1戦 IN FUJI SPEEDWAY FUJI 300KM RACE レースレポート

2020/07/21



 

7月18日(土)から19日(日)の2日間にかけて、2020年度の開幕戦となるスーパーGT 第1戦「FUJI 300KM RACE」が、富士スピードウェイで開催されました。カーズ東海ドリーム28は今季からドライバーズラインナップを変更。これまで18シーズンの間ドライバーを務めたチームオーナー高橋一穂選手に代わり、スーパーGTで両クラスのチャンピオン獲得経験を持つ、柳田真孝選手がチームに加入。エースドライバーである加藤寛規選手と共に、ツートップ体制でシンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)を走らせました。

 



 

■公式練習走行

コロナ禍の影響によって、今季のスーパーGTは大きくそのスケジュールが変わりました。開幕戦が7月に延期されただけでなく、予選と決勝レースは日曜日の1DAY開催に。そして土曜日は、90分の公式練習走行が夕刻に開催されました。土曜日は不安定な天候の影響から、コースに立ちこめた霧のために公式練習走行がディレイ。約1時間15分の時間を置いて、17:15から各車がコースインしました。

スタートドライバーは加藤寛規選手が担当。加藤選手はレインタイヤの皮むきを行ったあと、今度はスリックタイヤを装着してコースイン。そしてマシンの状況を確認しながらも、いつもより早いタイミングでタイムアタックに入りました。というのもこの時点で日曜日は雨が予報されており、雨量によってはこの公式練習走行でのタイムが、予選順位に反映されるという公式の通知があったのです。ここで加藤選手は、7周目に1分37秒802のタイムをマークしてGT300クラスのトップに立ちました。その後ライバルたちもタイムを上げて順位は動きましたが、11周目にはさらに1分37秒764までタイムを更新。また交代した柳田選手も、16周目に1分37秒568を刻んで、SGT EVORAのポジションを3番手にまで引き戻したのです。その後はライバルたちが調子をさらに上げ、激しい順位争いが展開されました。そして最終的なSGT EVORAの順位は、7番手となりました。

しかしGT300クラスの占有走行となったとき、ドラマが起こりました。
これを担当した柳田選手は、まず1分36秒945をマーク。さらに翌周はセクター2で自己ベストを更新し、1分36秒719のタイムでトップへと浮上したのです!今回は無観客レースという特殊な状況でしたが、チームのモチベーションは非常に高く保たれていました。結果的に翌日の予選は無事開催されましたが、まずストレートスピードがものをいう富士スピードウェイで、チームはしっかりとSGT EVORAの速さを証明することができたのでした。

 



 

■公式予選1回目

迎えた翌日の日曜日、9:30から始まった公式予選1回目(Q1)は、29台のマシンをA/Bふたつのグループに分けて開催されました。SGT EVORAはAグループに組み込まれ、ドライバーは柳田真孝選手が担当。空からは予報通り小粒の雨が降り、ホームストレート上はまだ路面が濡れている難しい状況。ここでSGT EVORAを含むヨコハマ・タイヤ勢は、多くがレインタイヤを履いてコースインしました。しかしそのアウトラップで柳田選手はコースの状況を確認し、すぐさまピットイン。Aコーナーや100Rに若干ウェットパッチが残る状況ながら、スリックタイヤへと履き替えて再びコースへと舞い戻りました。

残り時間が少ない状況ながらも柳田選手は果敢にタイヤをウォームアップし、まず5周目に1分38秒763をマーク。この瞬間順位は7番手まで上昇しましたが、ライバルも尻上がりにタイムを上げた結果、Q1突破圏外となる9番手まで、順位が落ちてしまいました。しかし柳田選手は、最後のアタックで素晴らしい走りを見せました。まさにギリギリのタイミングで1分37秒919のタイムを叩き出し、5番手に割って入ったのです。こうしてSGT EVORAは予選Q1を突破。チームとしても久々に、Q2で加藤選手にバトンをつなぐことができたのでした。

 



 

■公式予選2回目

10:23分から始まった公式予選2回目(Q2)は、合計16台のマシンがポールポジションを目指して闘いました。
強い日ざしが乾かし、路面は完全にドライ。ここで加藤選手は、タイヤがウォームアップを完了した4周目に1分36秒537のタイムを刻み、一気に3番手に躍り出ました。さらに翌周は1分36秒399へとタイムを更新。しかし前には2台のFIA-GT3勢が立ちはだかり、惜しくも順位を上げることは叶いませんでした。ちなみにトップとの差は、僅かに0.163秒。2番手との差は0.102秒という大接戦でした。そしてヨコハマ勢としてはトップのポジションで、開幕戦の予選を終了しました。

 



 

■決勝レース

決勝レースは予定通り15:00から、66周(GT500換算)の周回数で争われました。
スタートドライバーは加藤選手。オープニングラップでは2台のGT500マシンが100Rで接触し、レースは早々にセーフティーカーが導入されました。開始早々のアクシデントで後続との差を詰められてしまったSGT EVORAは、タイヤを十分に暖めきることができず、♯52 GRスープラ GT(川合孝汰選手)にオーバーテイクされてしまいます。それでも加藤選手は焦ることなく4番手をキープすると、その後もハイペースで周回。8周目には1分38秒336と、トップ車輌をも上回るタイムを刻みました。

しかし10周を走ったとき、まさかのトラブルがマシンを襲いました。加藤選手は無線で「クルマが真っ直ぐ走らない」とチームに報告。SGT EVORAは、そのままピットインを余儀なくされてしまいます。原因は、左リアホイールナットの緩みでした。この影響でSGT EVORAは戦線を離脱。ほぼ1ラップ遅れの形でコースへと戻ることとなりました。それでも加藤選手は果敢にマシンを走らせ、26周目まで力走。交代した柳田選手も38秒台を連発し、1分38秒251のベストタイムを刻みました。

 



 

レースは34周目に、GT300クラスの日産GT-R GT3が13コーナーのアプローチでGT500マシンに追突されスピン。ドライバーは壊れたマシンを動かすことができず、セーフティーカーが導入されました。このとき柳田選手は17番手まで順位を上げていましたが、トップ車輌との位置関係から周回遅れの状況はそのまま変わらず。最後まで諦めない走りはSGT EVORAを12番手まで押し上げましたが、残念ながらポイント獲得の10位には届きませんでした。しかしその速さと安定したペースを見れば、ポイント獲得はおろか表彰台を狙うことさえ可能だということを、このレースウィークでふたりのドライバーが証明してくれました。

 



 

■チーフエンジニア 渡邊信太郎
「今回はナットの緩みで2回ピットとなってしまったことが全てでした。52号車の走りは完璧だったので完敗と言えますが、今回はドライバーふたりのペースも非常によかっただけに、普通にレースができていれば、よい結果が得られたと思っています。レースでホイールナットが緩んだのは、初めてのことです。次戦までに原因を突き止めて、きちんと対策したいと考えています。応援ありがとうございました」

■ドライバー 加藤寛規選手
「トラブルは残念でしたが、すぐに気づくことができて、マシンを壊さないで済んだのはよかったです。マシンも今までより速くなっているので、こういう(ホイールナットの)部分まで見直さなければいけないのかな……というのはチームでも話し合いました。レースは残念でしたが、次戦も富士なので、くさらずに仕切り直してがんばりたいと思います!」

■ドライバー 柳田真孝選手
「速さがあっただけにとても残念ですが、こうしたトラブルもレースの一部だと思います。このレースでは我々が残念な結果となりましたけれど、逆に自分たちが得をする場合もある。速さだけでは勝てないからこそレースは面白いのだと、久々に痛感しました。それでも自分としてはとても手応えのある走りができたので、このチームとやってゆける自信が持てました」

 

次戦は8月8日(土)/9日(日)の富士スピードウェイ。再びこの場所でSGT EVORAの勇姿を見せられるように、チーム一丸となって頑張りますので、応援よろしくお願いいたします!