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SUPER GT 2020 第6戦 IN SUZUKA CIRCUIT SUZUKA 300KM RACE レースレポート

2020/10/26




10月24日(土)から25日(日)の2日間にかけて、スーパーGT 第6戦「SUZUKA 300KM RACE」が開催されました。第2戦(富士)、第3戦(鈴鹿)で連続ポイント獲得を達成しながらも、その後は2戦連続でポイントを逃したカーズ東海ドリーム28。ここでチームは再びチャンピオンシップ争いに名乗りを上げるべく、タイヤスペックを再検討。シンティアム・アップル・ロータスと共に、チーム一丸となって鈴鹿ラウンドへ臨みました。




■公式練習走行

9:20から始まった公式練習走行は、加藤寛規選手がまずSGT EVORAのステアリングを握りました。

ここで加藤選手は、計測3周目から1分58秒626の好タイムをマークして、6番手に浮上。93kgのサクセスウェイトに加え、65kgのBoPウェイトを背負った状態ながら、SGT EVORAは、まずまずのスタートを切りました。しかしその後チームは、なかなか想定タイムが出せない状況に、苦しまされました。今回本命視していたタイヤが、コンディションに対してマッチングしなかったのです。当然ながらこれは、前戦 富士での傾向をもとに、鈴鹿への対策を込めて選んだタイヤでした。しかしタイヤテストが満足にできない今シーズン、特に気温が低くなった後半戦の状況下において、想定通りの成果を得るのは、非常に難しいことでした。それでも勝負に出なければ結果が得られないほど、現在のGT300クラスは激しいカテゴリーなのです。

加藤選手から交代した柳田選手は公式練習走行で決勝を見据えたロングランをこなし、GT300クラス占有走行では予選を見立てたニュータイヤと燃料の搭載でこれを走りました。しかしここでも、大きな手応えを得るには至らず。柳田選手も「マシンバランスやタイヤのフィーリングはとてもよいのですが、グリップが引き出せない」と、その状況の歯がゆさを語りました。最終的には加藤選手のマークしたタイムがチームベストとなり、SGT EVORAは18番手で公式練習走行を終えました。




■公式予選1回目(Q1)

14:00を少し過ぎて始まった1回目の公式予選、SGT EVORAはAグループでの出走となりました。
これを担当した柳田選手は、まずファーストアタックで1分58秒134をマーク。ここでSGT EVORAは、3番手に躍り出ました。しかし公式練習走行同様に、その後ライバルたちはタイムを更新し、SGT EVORAの順位は徐々に下がって行きます。

ここで最終アタックに入った柳田選手は奮闘を見せ、1分58秒129へとベストタイムを僅かながらも更新。しかし再びその順位を押し戻すまでには至らず、12位でAグループの予選を終了しました。この結果、残念ながら、SGT EVORAは予選Q2へ進出することができませんでした。またA/B両グループの合算から、スターティンググリッドは23番手に。ポールポジションは、♯96 LEXUS RC F GT3(新田守男/坂口晴南 組)が獲得しました。




■決勝レース


迎えた日曜日の決勝レースは、13:00からフォーメーションラップがスタートし、52周(GT500換算)の周回数で争われました。スタート時の気温は22度、路面温度は31度(チーム計測)。スタートドライバーは、加藤寛規選手が務めました。23番グリッドから戦いに挑んだ加藤選手は、2周目で22位、3周目には21位とポジションを上げて行きました。


しかしその後は、GT3勢に挟まれる形で膠着状態に。タイヤは想定したグリップが出せず、なおかつ摩耗も早く進んでしまう厳しい状況でしたが、加藤選手は必死にポジションを守り切り、15周目まで走り続けました。そしてレース全体の1/3を消化した、16周目にピットイン。これは普段よりも少し早いタイミングでしたが、スタートタイヤのライフの短さが原因でした。しかしこの早めのピットインは、チームにひとつのチャンスをもたらしました。



それから5周が経過した21周目、シリーズを争う♯52 TOYOTA GR Supra(吉田広樹選手)がコースアウトを喫し、セーフティカーが導入されたのです(その後Supraはコースへと復帰)。このアクシデントによって、先にピット作業を済ませていたマシンたちは、大幅にタイムを削り取ることができました。そしてセーフティカーがコースから離れ、上位陣がピットへなだれ込むと、SGT EVORAの順位は14位までジャンプアップしたのです。第二スティントを担当した柳田選手は、ここから最上の走りを魅せました。
装着タイヤは第一スティントよりもグリップ性能で劣りつつ、耐久性は高いスペック。柳田選手はこれをバランスさせながら、30周目には11位までその順位を上げたのです。その後は39周目に、加速性能に勝る♯25 Porsche911 GT3R(松井孝充選手)の後塵を拝しましたが、逆バンクでは♯60 LEXUS RC F GT3(河野俊佑選手)をオーバーテイク。結果的にはポイント獲得まで僅かにひとつ順位が及ばない、11位でチェッカーを受けました。

優勝を飾ったのは、♯21 Audi R8 LMS(川端伸太朗/近藤 翼 組)でした。そして不幸中の幸いとしては、チャンピオン争いをする上位チームの多くが、今回のレースでポイントを獲得できなかったことでした。これによってカーズ東海ドリーム28とSGT EVORAは、まさに“土俵際”に残ることができました。


第7戦は11月7日(土)から開催される、もてぎラウンド。サクセスウェイトが半分降ろされるこのレースは、ウェイト感度の高いSGT EVORAにとって大切な勝負所となります。チームは全力を尽くして闘いますので、変わらぬ応援をよろしくお願い致します!




■渡辺信太郎チーフエンジニア


「ダンロップタイヤは今回別格で、本当に素晴らしかったと思います。ただラップタイムの推移は、同じようなウェイトを積んでいるライバルに比べて、もちろん速くはないのですが、極端に遅いわけではありませんでした。結果としては、よいレースができた。ですから今回は、自分たちのタイムで走り続けるための予選順位を獲得できなかったことが、今回一番反省するべき部分です。(ライバルたちがポイントを落として)ランキングが変わらなかったことは、本当に良かった……。トップとの差は20ポイントと大きく、もう一度優勝することは必須なのですが、まだまだ可能性はあると思っているので、がんばります!」


■ドライバー 加藤寛規選手


「コンディションのせいなのか、今回は本命のタイヤで、全くタイムが出なかった。なおかつライフが厳しいこともわかっていたので、決勝は本当に必死に走りました。本当に……これは、まったくの予想外でしたね。次戦はみんなもウェイトが(半分)軽くはなるのですが、エヴォーラは特にウェイト感度が高いマシンなので、それは明るい材料です。重要な戦いとなるので、がんばります。応援よろしくお願いします!」


■ドライバー 柳田真孝選手

「加藤さんに第一スティントを耐えて頂いて、後半は別のタイヤで、データ取りも含めてロングスティントを走りました。それが予想より良くて、なおかつセーフティカーにも助けられ、大幅に順位を上げることができました。ただGT3勢に引っかかってしまうと、エヴォーラの速さを引き出すのはやっぱり難しくて……。なんとかポイントを持って帰りたかったのですが、とても悔しいですね!ただ自分は、まだ(チャンピオンシップを)諦めてません。今回のデータを持ち帰って、さらに詰められる部分を探し、次戦に備えます!」